「メシマズの家庭に育った子が美食家を自称するのっておかしくない?やっぱさぁ。不味いものしか食べたことがない人に美味しいものがわかるとは思えないもの」 実に世間でよくいわれている事である。僕も初めはそう思っていた。 しかしいざ自分が医学部に入ってみて回りを見渡してみると、どうもことはそう簡単ではなさそうであると気付かされた。 僕は医学部には僕以上のメシ狂いが絶対にいると思っていた。僕よりも遥かにいいものを食べていた経験豊富な奴が沢山いるのだから、その辺のものなんて口にもできない海原雄山のような奴がいたって全然おかしくないと思っていたからだ。 そんな期待を裏切らず医学部には高所得者の両親を持ち、小さい頃からおふくろの味から銀座の寿司といった比較的いいものしか食べたことがない奴が何人もいた。だがそんな食のエリートである彼らのオススメする美味しいお店というのは正直う~んとしか言いようがないような店