「クリエイティビティの幅をもっとも広げてくれるドリンク」。日本代表として、世界コンペティションにも出場経験のあるバーテンダーは、モクテルをそう表現する。「疑似の」という意味を持つ「モック(Mock)」と「カクテル(Cocktail)」から「モクテル(Mocktail)」と造語されたノンアルコールカクテルを指す言葉が、バー業界で流通し始めたのは2010年代に入ってから。アメリカからイギリス、またたく間に日本でも市民権を得た。今では、カクテルの潮流に敏感な東京のバーでも、メニューにその名を涼しく覗(のぞ)かせる。ただし、アルコールをベースとしないだけに、バーそれぞれの特色を生み出しにくいという難点も持ち合わせ、バーテンダーにとってもチャレンジングな一杯となっている。ここでは、創意を凝らしたモクテルをラインナップする東京のバー10軒に脚光を当てた。 ※2021年6月4日現在、緊急事態宣言下の営業