青々とした木々にそそられて、長いトラス橋を抜けた先へと。目の前に広がる閑静な住宅地に、なぜか郷愁をかき立てられる。鮫島大輔の作品からは、そのような強烈なデジャヴを覚えさせられる。それは茫々たる記憶の海に沈んでいった欠片か、または記憶や経験に呼応し映し出されたものか。 いずれにせよ、確かなことは、我々が普段気に留めていなかった日常風景が、立体や球体に封じ込められることによって、新たな体験となって記憶を遡らせるのだ。 鮫島大輔は誰もが見たことのあるありふれた建物や郊外の風景を、様々な支持体に描き続けている。ライフワークとして制作しているFlatball シリーズは、風景が球面上で 360° 完全に繋がり、本来自分を中心に無限に広がる空間は球体の中心へと集約され、世界は球に封じ込められる。視点をずらすとまた中心が変わり、時間と空間も付随して変化し続ける。 どこにでもあるような風景が、球体などの形