開館当初からデザイン椅子の名品を館内に設置してきた「椅子の美術館」が、従来のデザイン椅子展とは異なる新しい視点から「椅子」というテーマに挑みます。 椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する絶対的なテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきました。玉座のように権威の象徴となることもあれば、車椅子のように身体の補助となることもあり、電気椅子のように死や暴力とも無縁ではない椅子。また、私たちが椅子に座って向き合えば、そこには関係が生まれます。この上なく身近でありながら、社会や身体との密接な関わりの中で幅広い意味や象徴性をまとった椅子は、まさに究極の日用品と言えるでしょう。 アーティストたちは椅子のもつ意味をとらえ、作品を通じて社会の中の不和や矛盾、個人的な記憶や他者との関係性などを浮かび上がらせてきました。アートのなかの椅子は、日常で使う椅子にはない極端なあり