2010年5月21日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)よって打ち上げられた金星探査機「あかつき」は、金星周回軌道へ減速させて投入するため、12月7日8時49分(JST)に軌道制御エンジン(OME)の逆噴射を開始した。しかし、噴射開始から2分23秒後2分32秒(152秒)後に姿勢を崩して(ひっくり返って回転を始めた X軸周りに42度回転)、自動的に噴射を中断しセーフホールドモード*に移行。その結果、当初予定されていた12分間の2割程度しかOME噴射が実施されず、十分な減加速度を得ることができず、金星を通り過ぎてしまった。イオンエンジンを使った「はやぶさ」と違い、ホーマン軌道で惑星へ向う場合、決められた時間と場所で、決められた継続時間だけ加速できなければ周回軌道に入れないという難しさがある。火星探査機「のぞみ」(1998-2003年)が、火星周回軌道に入れなかったリベンジでもあった。 (JAX