2015-03-23 13年間飼っていた愛犬を、山に逃がしてきた 昨日の夜中、僕は大きな物音を耳にした。 強盗の襲来か、はたまた本棚が倒れたのかと思った。 恐ろしくなって犬を呼んだ。 すると、驚くことにそいつは僕の頭上で回転していた。 残像が煙のように色濃く残っていて、まるで空気にピカソの絵を描いているようであった。 「どうしたんだい?」と弱々しく声を掛けると、犬は得意げに斜め回転を始めた。 愛犬ながらも、しつけが足りないなと思い、僕は枕を掴んで、犬の胴体めがけてフルスイングしてやった。 その直後、犬はぴたっと動きを止めた。 と、同時に部屋がなんの前触れもなしに傾いた。 大型のトラックにでも体当たりされたのだろうか、と疑問を感じたものの、衝突音などまるでなかった。 「人生って不可思議なこともあるものだな」と思う間もなしに、目に入るもの全てが回り始めた。 いや、この感覚、この
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