Oculusの原点となった名作SF『スノウ・クラッシュ』-フィクションの中のVR【第4回】 (ニール・スティーヴンスン/日暮雅通 訳/ハヤカワ文庫SF/原題 Snow Crash) ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』は、電脳空間を舞台とした本格的SF小説です。 近未来、アメリカ連邦政府は既に機能しておらず、各地で都市国家がフランチャイズ経営されています。もはやアメリカが世界に誇れるのは「音楽、映画、マイクロコード(ソフトウェア)作り、高速ピザ配達」の4つだけ。そのためピザ配達人は特権階級で、ピザ配達人養成の専門大学まで存在しています。 そんな世界を駆け抜ける主人公ヒロは、最後のフリーランス・ハッカーにして世界最高の剣士、そしてピザの配達人なのです。 意表を突いた設定が象徴するように、この小説は全体的にドライなユーモアに満ちていますが、ストーリーには言語学、