政権交代の正体はもはや国民的罰ゲームだったみたいで、政局はまだ、アナーキーな悪夢の様相から逃れられそうにありません。想像力でなんとでもなる小説の虚構世界では、政治に救いはあるのでしょうか。それとも――。 ■三省堂名古屋高島屋店 福澤いづみさんのおすすめ (1)民王 [著]池井戸潤 (2)新リア王 [著]高村薫 (3)ゴールデンスランバー [著]伊坂幸太郎 ▽記者のお薦め (4)高い城の男 [著]フィリップ・K・ディック ■現実にない痛快と絶望 かつて「未曽有(みぞう)」を「みぞうゆう」、「踏襲」を「ふしゅう」と読みちがえた首相は実在した。(1)『民王』に登場する首相は国会答弁でもっと破壊的な誤読をやってのける。 「なんつーか、我が国はいま、ミゾユーの危機にジカメン(直面)し、景気は著しくテイマイ(低迷)……ハヤリ(派遣)労働者切り問題がワカオキ(惹起〈じゃっき〉)しております」 そのチャラ