出生数80万人割れ、物価高・低賃金、増負担時代……人口激減&家計大苦難時代に私たちはどう生き延びることができるのか、日本の企業はどうすべきか? 話題の新刊『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』(角川新書)の上梓した経済アナリスト・森永卓郎さんと、累計100万部突破シリーズの最新刊『未来の年表 業界大変化』(講談社現代新書)著者のジャーナリスト・河合雅司さんが、日本の大問題と厳しい現実について語り合った。 (撮影:村田克己)
「健康のために運動しよう」と決心しても三日坊主になった経験のある方、いませんか? ジムやフィットネス・クラブはお金も時間もかかるし、「ジョギングでも」と思っても、周囲の人の目も気になる。 そんなあなたにおすすめなのが、誰でも簡単かつ無理なく体力をつけられる「インターバル速歩トレーニング」。今回はその効果を科学的に検証するだけでなく、その詳しいやり方や疑問点も特別に公開! ブルーバックスの『ウォーキングの科学』にて紹介されたこの方法は、通勤や買い物の行き帰りにもできるので、ぜひ今日から実践してみてください! ウォーキングで身につく「体力」とは インターバル速歩トレーニングの話に入る前に、「体力」の定義について説明しましょう。体力といえば、病気にかからず健康を維持する能力、といったイメージを持つ方もおられると思いますが、運動生理学で扱う体力とは「筋力」と「持久力」を指します。 その理由は運動生
私たちはなぜ有用な人間であることを証明しつづけなければならないのか? 「生産性」という病に取り憑かれた社会を解剖し、解毒剤を練り上げる、気鋭の著者による待望の新連載! 第1回は、寝そべり主義、#最後の世代、ゴブリンモード、大量離職、サイレントテロなど、生産性のロジックを基盤とした苛烈な競争社会に対して静かなる抵抗を始めた、「現代のディオゲネスたち」を追う。 (毎月1日頃更新) 寝そべることで見えてくる世界の真実 ふたつの記事からはじめたい。 ひとつ目は、『ダイアモンドオンライン』に掲載された「中国の過酷な受験戦争を勝ち抜いた若者が「寝そべり族」になってしまう理由」という二〇二一年七月の記事。 経済の急速な発展による社会競争の激化。格差のとどまることを知らない拡大。壮絶さを極める過酷な受験戦争。そんな厳しい競争社会である中国、そこで生きる若者たちがいま、静かに競争から降りようとしているのだと
うつ病、自閉スペクトラム症、統合失調症......。多くの現代人を悩ませる発達障害や精神疾患について、原因解明や治療法開発のための研究が進んでいます。 今回は、前回の記事〈『多くの人を悩ませる…「ADHD」は「いつまで続く」のか? いったい「どんな人が当てはまる」のか? 』〉に引き続き、『「心の病」の脳科学』(講談社ブルーバックス)の中から「注意欠如・多動症(ADHD)」をご紹介します。 ADHDが生じるメカニズムについて、最新の4つの仮説があるというのですが――。 *本記事は『 「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか』を一部再編集の上、紹介しています。 ADHDが生じるメカニズムとは?「4つの仮説」 (1)実行機能の障害――目標達成のために計画的に行動できない ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動
7万年前に出現して以来、さんざん地球を痛めつけてきた人類はいま、さまざまなところでしっぺ返しにあい、これまでのやり方の見直しを迫られています。現代ではなくてはならない道具となった冷蔵庫も、その1つ。もう従来の「冷やし方」は許されなくなってきているのです! そして日本には、世界に先駆けて破壊的イノベーションを起こそうと燃えている研究者がいます。 いま冷蔵庫で何かが起きようとしている どこのご家庭もそうだと思うが、わが家の冷蔵庫も「掲示板」の役割を兼ねている。税金の納付書、近隣の工事のお知らせ、イベントのチケット、最近では新型コロナウイルスワクチンのクーポン券など、とりあえず磁石で貼りつけておくのに冷蔵庫は便利だ。冷蔵庫あるところに磁石あり、である。両者はとても相性が良い。 とはいえ掲示板は、あくまでも冷蔵庫の「副業」である。ところが、磁石がいま、冷蔵庫の「本業」にも役立とうとしている、という
難関中学への高い合格率で知られる中学受験塾、SAPIX(サピックス)。「読解が苦手」という子には、どのようにアドバイスしているのだろうか。『10万人以上を指導した中学受験塾SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』の著者で、教育ライターの佐藤智氏が、SAPIX小学部で国語を担当している国定栄太先生に聞いた。 文字を意味のある塊として読めない? 「この子、文字は読めているけれど内容はよくわかっていないみたい……」。そんなふうに感じたことはありませんか? 読解が苦手な子の特徴として、「文字を単なる文字としてしか認識していない」という課題が挙げられます。 「たのしいうんどうかい」と書いてあったら、「た」「の」「し」「い」「う」「ん」「ど」「う」「か」「い」と一つ一つの文字を認知するだけで、意味のある言葉の塊として読むことができていないのです。 文字を追いかけることはできるけれど、
悪口は言っちゃいけない 三浦瑠麗がボロクソに叩かれているのには驚いた。数年前、あるテレビ局で情報番組のディレクターと彼女の話になったとき、「三浦さんの悪口は間違っても言っちゃいけない」と言われた。聞けば、政権に近い数名の出演者については「気難しい事情がある」と、腫物を触るような扱いをしているということだった。 たしかに三浦氏は政府の有識者会議などにも起用されてきた女性であり、最強のバックアップを持つタイプのテレビコメンテーターだけに、一転してバッシングされ、あっという間にメディアから消えたことは衝撃的だ。それだけ潜在的に彼女を嫌う人が多かったからだろうが、その要因のひとつは「国際政治学者」という肩書きにもある。 学者は本来、学問の研究を専門職とするが、彼女の場合、国家政策を深く掘り下げる国際政治学についての研究がされているとは思えない話ばかりで、その手の解説で頻繁に出てくるマルクスやエスノ
全国の大学では国による統制やトップによる独裁化が進み、弊害としてハラスメントの横行、非常勤教職員の大量解雇などの問題が起きている。背景にある大学政策と、大学崩壊の現状をレポートする。 国家による「支配」 大学は教育と研究の場であり、社会の規範となるべき存在だと多くの人は思っているだろう。ところが今、全国の大学関係者から「大学が壊れてしまった」と嘆く声が聞こえてくる。 「しかも、今後さらに大学界に激震が走ると考えられています。莫大な予算を投入する代わりに政財界が大学運営の舵取りをする『国際卓越研究大学』の制度が、令和6('24)年度からの導入を目指して進められているからです。経済安全保障に大学の教育と研究が組み込まれるなど、大学を国策に沿って統制しようとする動きも加速しています」(国立大学関係者) 大学のあり方を大きく変えてしまったのは、小泉政権下で行われた'04年の国立大学法人化と私立学校
前編『【元空自幹部も称賛】米軍による中国偵察気球撃墜は「新幹線で自転車を追うような超難度ミッション」だった』より続く。 先月28日に米国、カナダの上空に飛来した中国のものと見られる偵察気球は、2月4日、大西洋上に出たところで米軍戦闘機により撃墜された。 この米軍による要撃作戦は、実は信じがたいほどに難易度の高いミッションであり、バイデン大統領の「撃墜を成功させた飛行士らを称賛したい」という言葉は、決して大げさなものではなかったのである。 しかしこの華々しいミッションの成功の陰に隠れてはいるが、今回の米国および米軍の動き、作戦の詳細や過去の中国の動向を通して見えてくる真実がある。本項ではそれを指摘したい。 威信をかけたミッションは情報戦 まず、この作戦には、主役となった戦闘機F-22 のほかにも、米空軍のF-15戦闘機や、米海軍からは、タイコンテロガ級ミサイル巡洋艦「フィリピン・シー:CG-
日本SF界の注目作家・小川哲による巨編歴史小説『地図と拳』が第168回直木三十五賞を受賞した。日露戦争後からの半世紀、満洲のとある町という絶妙な舞台で、歴史・地理・風俗・文化の背景が緻密に描かれ、そこにダイナミックなドラマが展開するこの作品は、一読した読者を強力に惹きつけている。 この壮大な歴史ドラマはいかにして作られ得たのか。実は、作品の歴史考証には、ある中国史研究者が協力していた。『馬賊の「満洲」 張作霖と近代中国』(講談社学術文庫)の著者である澁谷由里氏がいま語る、創作と考証をめぐる秘話。 作家の「ツボ」を衝いた? カルト集団事件の研究書 第168回直木三十五賞受賞作『地図と拳』(集英社刊)の歴史考証を、『小説すばる』での連載開始前から単行本刊行までの約4年間、筆者は手がけてきた。「満洲もの」を書きたいと志した著者の小川哲氏が、拙著を読まれて、担当編集者とともに筆者の研究室を訪ねて
とまらない世界の「EVシフト」。新興中国企業「BYD」が勢いにのるなか、日本だけが取り残されていく。日本は、そして日本を代表する自動車メーカー「トヨタ」はどうなるのか...。前編記事『トヨタが「世界一」から転落し、日本の自動車産業の「ヤバすぎる大崩壊」が始まる…!』に引き続き紹介する。 中国企業では珍しく「地に足が着いた」動きをする '95年に電池メーカーとして中国・深センで創業したBYDは、'03年から自動車事業に参入した。'08年には米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が投資したことで一躍、名を馳せた。 現在の社員数は29万人超と、日産やホンダを上回ってトヨタの約37万人に迫り、ITエレクトロニクス、都市モビリティ事業なども手掛ける。 '21年12月期の売上高は、前年比38%増の2161億元(約4兆842億円)。'22年3月にはガソリン車の製造を中止し、EVとプラグイン・ハイブリ
量子力学。それは物質の基本の姿、すなわち、この世界の基本の姿を解き明かそうとする理論だ。しかし、そこから導かれるさまざまな結論は、どれもわれわれの直観にあまりにも反している。 そんな量子力学をどう解釈するかをめぐっては、2つの代表的な方法がある。1つは、ニールス・ボーア(1885-1962)を中心に考えられた「コペンハーゲン解釈」。もう1つは、ヒュー・エベレット(1930-1982)が提唱した「多世界解釈」だ。現在、コペンハーゲン解釈が標準的な理論とされているが、それに異を唱える物理学者たちが主張しているのが多世界解釈である。しかしそれは、「この世界は無数に存在する」というSFとしか思えない世界像を主張する、一見、まともとは思えない解釈である。 多世界解釈では、なぜそんな世界が「必然」となるのだろうか? その答えは、じつはごく自然なロジックの積み重ねで導くことができるのだ。 その前に今回は
気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察する。 リーマン・ショック後、日本がデフレスバイラルから脱却できない一方、海外諸国は「日本化」を回避し、見事に立ち直った。いったいどんな経済政策を実行したのか?『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。 バーナンキがやったこと 海外の国々が日本の長期停滞から学びとり、見事リーマン・ショックから立ち直ることができた経済政策とは、どのようなものなのでしょうか。 リーマン・ショック当時、FRB議長だったベン・バーナンキ氏は、プリンストン大学でバブル崩壊後の日本の長期不況を研究していた人です。そして偶然にも、彼の任期中の2008年9月15日にリーマン・ショックが起きました。 FRBとは、米連邦準備制度理事会
気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察する。 デフレ・スパイラルの中にある日本。そもそもデフレとは何なのか。『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』からあらためて見てみよう。 デフレが日本病の本質だった 「デフレ」という言葉は日本ではもはや連日のように聞いているので、すっかり耳に馴染んでしまったかもしれませんが、うかつに馴染まないほうがよい恐ろしいものです。ここで改めて確認しておきましょう。 IMF(国際通貨基金)の定義によれば、2年以上にわたり物価が下がり続けることを「デフレ(デフレーション deflation)」と言います。 「物価が下がる」ということは、裏を返せば「お金の価値が上がる」ということです。そうなると、デフレ状況における合理的な経済行
「告発すなわち真実」という風潮 2020年12月、群馬県の草津町議だった新井祥子氏が、同町の町長から性被害を受けたと告発したことに端を発する「草津MeToo事件」。あれからおよそ2年を経て、その事件が大きな転換点を迎えた。前橋地検が2022年10月31日に、当時町長を「性加害者」として告発していた新井元町議を名誉棄損と虚偽告訴の罪で起訴したのである。 〈群馬県草津町の黒岩信忠町長(75)から町長室でわいせつな行為をされた、と訴えていた元町議の新井祥子氏(53)について、前橋地検は31日、新井氏を名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴し、発表した。新井氏は2021年12月に強制わいせつ容疑で黒岩町長を告訴し、直後に黒岩町長が「虚偽告訴だ」と新井氏を告訴。地検は同月、黒岩町長を嫌疑不十分で不起訴にしていた〉(朝日新聞デジタル「「町長から性被害」訴えた元草津町議を在宅起訴 名誉毀損罪などで」2022年
政府は、岸田総理を議長とする「新しい資本主義実現会議」にて、少額投資非課税制度「NISA」の拡充を決めた。(1)NISA制度の恒久化、(2)非課税期間の無期限化、(3)非課税枠の増額、この3点が大枠だが大きな転換といえよう。今後、与党の税制調査会で議論され、年内にも詳細が見えてくるだろう。このNISA改革は、個人投資家にどのような影響があるのだろうか。 世界30ヵ国の高配当および増配の個別株、リート、ETFに長期投資し、著書『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式ほったらかし米国ETF入門』も好評な、億り人個人投資家・桶井道氏が解説する。 NISA拡充で何が変わるのか? 個人投資家に嬉しいニュースが舞い込みました。岸田総理が議長を務める「新しい資本主義実現会議」から、NISA(一般NISA、つみたてNISA)拡充が発表されたのです。岸田総理は、就任時から国民の所得を増やすことを公
日本向けECサイト設立からわずか2年でH&MどころかGUの売上も超えたと推計される中国発越境ECサイト「SHEIN」(シーイン)。契約インフルエンサーの投稿がSNSに氾濫するのに加え、原宿に世界初の常設ショールームを開設して6000人が行列する騒ぎになり、あたかも08年にH&Mが上陸した時のごとくマスコミが囃し立てているが、「『SHEIN』には目を背けてはいけない問題がいくつも指摘される」。そう警鐘を鳴らしているのはアパレルの流通に詳しい流通ストラテジストの小島健輔氏だ。 「SHEIN」、日本での売り上げ1400億円突破…!? 「SHEIN」が日本向けECサイトを開設したのは2020年末。そこからわずか一年足らずの21年11月末で公式インスタグラムのフォロワー数は23万人に達し、直近では60万人に迫っている。 8000億円を売り上げた21年の米国のフォロワー数が141万人だったから、単純計
『21世紀の啓蒙』『暴力の人類史』などの著作で知られ、さきごろ新著『人はどこまで合理的か』が刊行されたハーバード大学心理学教授スティーブン・ピンカー博士に、批評家ベンジャミン・クリッツァー氏が行ったインタビューを3回シリーズでお届けする。3回シリーズの最終回は、キャンセルカルチャーと進歩の関係や、合理性や民主主義に日本人が取りがちな否定的態度などについて聞いた。 世界は悪くなっている? ——最近では「キャンセルカルチャーやWokeのせいで世の中はどんどん悪くなっている」と言っている人も増えています。しかし、ピンカーさんは『暴力の人類史』や『21世紀の啓蒙』のなかで「世界の状態はこれまでに改善され続けており、現在も進歩は続いている」と強く主張されています。 キャンセルカルチャーの風潮と「世界の状態は改善し続けている」というピンカーさんの持論は矛盾しているのでしょうか、それとも一致しているので
作家のヘレン・プラックローズと数学者のジェームズ・リンゼイの共著である『「社会正義」はいつも正しい』が早川書房から刊行された。批評家のベンジャミン・クリッツァー氏が、同書の読みどころを解説する。 「特権」をめぐる議論 近頃では、日本でも「特権」に関する議論が盛んになされるようになった。もともとはアメリカにおける「白人特権」の理論に由来しているが、日本では「男性特権」について論じられることが多い。女性差別に関する従来の議論では、性犯罪や賃金格差など、女性の側が被る具体的な被害が問題視されていた。 それに対して、男性特権の理論では「性犯罪に遭う心配をせずに夜道を歩けること」や「自分には正当な賃金が支払われるのが当たり前だと思えること」など、男性側の経験や意識が問題視される。つまり、女性差別が存在している社会では、女性たちが被っている差別を受けずに済むという点で男性たちには「特権」がある、とされ
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