米国ワシントン州にあるレーニア山南面のパラダイス氷河を覆うコオリミミズ。コオリミミズは0℃で繁栄する科学上の「パラドックス」だ。(PHOTOGRAPH BY SCOTT HOTALING) 氷河は一見、生命のいない不毛な氷の塊だ。しかし、目に映るものがすべてではない。氷河には多数の小さな生物が暮らし、豊かな生態系を形づくっている。 コオリミミズ(Mesenchytraeus solifugus)は、北米大陸西部の氷河で最も目立つ生物だ。体長は1センチを上回る程度で、デンタルフロスくらい細く、米国の太平洋岸北西部、カナダのブリティッシュ・コロンビア州、米国アラスカ州の氷河に点在する。 この小さな黒いミミズは夏の午後から夜にかけて氷上に大量に現れ、藻類や微生物などを食べる。そして、夜明けとともに氷の中に潜り、冬が来ると氷の奥深くに姿を消す。 ミミズの遠い仲間であるコオリミミズは、雪や氷の中の冷
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 日本大学商学部水野学ゼミが開発した、家の中に出た虫を殺さず“逃がす”ことに特化したグッズ「むしキャッチリー」を8月17日からAmazonで再販売します。これはなかなかありがたいグッズかも。 むしキャッチリー 「むしキャッチリー」は、透明な箱状の捕獲器。見つけた虫に被せて取っ手を引っ張ると捕まえられ、そのまま外に持ち出して取っ手を戻せば、何となく殺しにくい蜘蛛やカメムシなどを触れずに外へ追い出せます。 特徴 使い方 組み立て方 箱はある程度の大きさがあるため、虫とは距離を保てるとのこと。また目隠しシールが付いているため、見たくない人はあまり姿を見ることなく外へ運べます。 価格は800円で、現在予約受付中です。 おすすめ記事 advertisement 関連記事 肌表面を変えて蚊を避けられることを花王が発見 従来の虫よけと違う方法で刺さ
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 豊橋技術科学大学の研究チームが開発した「A lightweight, wireless Bluetooth-low-energy neuronal recording system for mice」は、小動物に取り付け可能な脳活動計測ワイヤレスシステムだ。小さく軽量なためマウスなどの小型の動物に適応できる。安価に製作でき、性能も高いという。 脳の情報処理の仕組みを理解するためには、脳組織内の多数のニューロンの発火活動を同時に測定し、個別に解析することが有効とされる。ニューロンの発火活動を直接捉えるには、微小電極で組織内のニューロン近傍の信号を測定する電気生理学的手法が効果的とされている。
止まらないウナギロンダリング 漁業者搾取の謎ルールに支えられる「黒いウナギ」に未来はあるか: 「土用の丑の日」に憂う(1/6 ページ) 今年もウナギ業界最大のイベント「土用の丑の日」がやってきた――。新型コロナ禍の影響で専門店主体の需要は減退している一方、巣ごもり需要の拡大で、量販店でのウナギの売れ行きは好調のようだ。 7月20日付の読売新聞によれば、流通大手イオンは定番商品の「国産うなぎ蒲焼」(約160グラム)を2020年より1割安い1880円(税別)に引き下げた。ウナギ関連商品の売り上げは前年比で2割増加とのことだ 。東京都中央卸売市場の6月の生鮮ウナギの卸売価格は前年同月の5396円と比べて2割以上安い4071円となっている(東京都中央卸売市場・市場統計)。 消費の99%を占める養殖ウナギを育てるには、天然の稚ウナギ(ウナギの稚魚、シラスウナギ)が不可欠だ。19年にはその採捕量が史上
昆布、ワカメ、そして海苔といった食材は和食において不可欠なものだ。古くは柿本人麻呂が海苔についての和歌を読んでおり、その利用は先史時代に遡るという。だが海藻を食べる文化は西洋人から見ると奇異に映ったようで、民族ジョークにもなっている。 レストランであるフランス人が言った。 「日本は物が豊かだと聞いたのに、海藻なんかを食べている」 それを聞いた日本人が言った。 「フランスは物が豊かだと聞いたのに、カタツムリなんかを食べている」 そして二人が言った。 「イギリスは物が豊かだと聞いたのに、イギリス料理なんかを食べている」こうしたジョークは世界各地で人気があり、日本でも早坂隆『世界の日本人ジョーク集』などがベストセラーになったが、最近はこのような笑いに白い目を向けられることも多い。国や民族に対する偏見を助長することはもちろん、グローバル化著しい現代においては、ジョークで語られる民族像が現実に追いつ
上皇さまは、研究に取り組んでいるハゼの新種を2種類発見し、このほど論文を発表されました。上皇さまによるハゼの新種の発見や論文の発表は、退位されたあとでは初めてです。 上皇さまは、皇太子時代から公務の合間にハゼ類の分類に関する研究に取り組んでいて、退位して仮住まい先に移ったあとも、皇居の生物学研究所を定期的に訪れて研究を続けられてきました。 今回の論文は、10年以上前に沖縄の近海でとれたオキナワハゼ属のハゼ2種類について調べたもので、先月、ほかの研究者とともに魚類学雑誌のオンライン版に発表されました。 それによりますと、上皇さまが頭部にある感覚器の配列の数やパターンなどを調べられた結果、いずれも新種だとわかったということで、それぞれ「アワユキフタスジハゼ」と「セボシフタスジハゼ」と名付けられました。 上皇さまによるハゼの新種の発見は、平成15年以来、18年ぶり10種類目になるということで、発
神戸大学大学院理学研究科の大林奈園 (大学院生)・佐倉緑准教授・佐藤拓哉准教授と弘前大学大学院理工学研究科の岩谷靖准教授・奈良女子大学共生科学研究センターの保智己教授・National Changhua University of Education のChiu博士からなる国際研究グループは、ハリガネムシ類に感染したカマキリが、水面からの反射光に多く含まれる水平偏光に誘引され、入水行動に至っていることを発見しました。 本研究の結果は、寄生生物が、宿主の有する特定の光受容システムを巧みに操作し、通常では考えられない宿主の行動を引き起していることを示唆する世界でも初めての研究成果です。 この研究成果は、6月21日 (現地時間) に、米科学誌「Current Biology」に掲載されました。 ポイントハリガネムシは、森や草原の終宿主 (カマキリやカマドウマ等) の体内で成虫になると、宿主を操作
2021年5月下旬、現在展示している群れのハキリアリの女王が死亡しました。昆虫園におけるハキリアリの飼育は20年近く続いていますが、過去飼育していた群れの女王はおおむね5年以内で死亡しています。この群れは2014年に来園したので(お知らせ)、女王は少なくとも6年半以上は生きたことになります。昆虫園としてはもっとも長く生きた女王(※末尾「関連記事」参照)ですが、まだ群れに勢いがあり女王も若かったころを知るものとしては、やはり死亡してしまうのはさびしいものです。 女王がいなくなり、群れもいっしょに消滅してしまったのかというとまったくそんなことはなく、多数の働きアリたちが、現在も展示ケースの中で菌園とともに生き続けています。新たな若い群れもバックヤードで待機していますが、もうしばらくはこの群れの展示を継続していく予定です。 さて、なぜ群れがまだ続いているのかと疑問に感じる方もいるかもしれませんが
車輪はデコボコ道でも走れる よく言われる疑問の1つに、「なぜ生物には車輪がないのか」というものがある。ただし、車輪を持つ生物がまったくいないわけではない。それについては後で紹介するけれど、ほとんどの生物が車輪をもっていないことも、また事実である。なぜ、ほとんどの生物には車輪がないのだろうか。これに対する答えとしては、「車輪はデコボコ道が苦手だから」というのが一般的である。 たしかに車輪をもつ自動車は、舗装された平らな道ならスムーズに走れる。しかし、地面はいたるところ、デコボコだらけだ。車輪はこういうデコボコが苦手なので、ほとんど進化しなかった、というわけだ。でも、この意見は少し変な気がする。 デコボコが大きいと車輪が進めないのは事実だが、少しぐらいのデコボコなら、車輪でも進むことができる。理論的には、半径より小さい段差なら、車輪は乗り越えられる。だから、デコボコに対して車輪が相対的に大きけ
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。 編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー) 前の記事:料理をどこで間違えているのかを教えて欲しい > 個人サイト webやぎの目 15年前の記事が生きた 2021/3/21から2021/4/26までの約1ヶ月間、GoProのタイムラプスモードで撮り続けた(5秒に1回撮影)。 3月~4月は忙しく、テレワークの合間に雑草の動きを見ることだけが楽しみだった。 GoPro この箱の中にカメラが入っている。周りを暗くしないとガラスが反射してしまうので箱で囲ってある。 この記事の知恵が生きている(「夜の電車でも夜景がよく見える機」) 箱に穴を開けてケーブルを通し、給電しながらひと月撮影した。1ヶ月電源を入れっぱなしだったカメラのバッテリー
物質・材料研究機構(NIMS)は6月3日、40年にわたって議論が続いてきたテントウムシの脚裏がガラス面などでも滑らずにいられる接着原理を解明したと発表した。 同成果は、NIMS 構造材料研究拠点の細田奈麻絵グループリーダー、東京大学の須賀唯知名誉教授(現・明星大学客員教授)、東京大学の中本茉里大学院生(研究当時)、独・キール大学のStanislav N. Gorb教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。 持続可能社会を実現するための要素の1つに、リサイクルがある。可能な限りリサイクルすることが望ましいことから、接着技術にもスポットが当たっている。 これまで接着剤などの接着技術は、強力であることが求められてきた。しかし今後はそれが変わっていく。たとえばダンボール箱1つを取っても、中にものを入れて運ぶときはしっか
光合成は光エネルギーから有機化合物を合成する反応であり、陸上植物や藻類と一部の細菌が有する能力です。動物は光合成を行うことはできませんが、ごく少数ながら例外があります。巻き貝の仲間であるウミウシ類の一部の種は、餌として食べた藻類から、葉緑体を自分の細胞内に取り込み、数ヶ月に渡って葉緑体の光合成能力を維持し、そこから栄養を得ます。これを「盗葉緑体現象」と呼びます。動物であるにも関わらず光合成を行うウミウシの盗葉緑体現象には多くの研究者が驚きとともに関心をよせてきました。 藻類や植物では、葉緑体が光合成を行うために必要な遺伝子のほとんどは葉緑体のゲノムではなく核ゲノムに存在しています。そのため、人為的に藻類細胞から単離された葉緑体は単独で光合成を行うことはできません。にもかかわらず、ウミウシは餌から取り込んだ葉緑体の光合成活性を維持することができます。動物は光合成関連遺伝子を持たないため、なぜ
沖縄にはとんでもなくデカいムカデがいるらしい。 しかも、そのムカデは水陸両用で水に潜ってカニやエビを捕食するという。 長らく謎に包まれた存在だった大ムカデだったが、このたび日本人研究者らの手によって、めでたく新種として名前が与えられた。その名は『リュウジンオオムカデ(琉神大百足)』。 この素晴らしいムカデを捕まえてみた。それから、咬まれてみた。 ※全体的に絶対マネしないでください 新種だけど存在はずっと知られてた さて、いきなりだが本記事の舞台となる森の話をしよう。 沖縄本島の北部に広がる「やんばる」と通称される山林地帯である。 第二次大戦中には激戦地であった沖縄において、戦火を免れた原生林がいまだに残っているのだ。 本記事の舞台、「やんばる」の森。 それゆえにヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネといった世界中でここにしか生息しない生物たちが見られるのである。 最近では世界自然遺産登録へ歩
北海道大学(北大)は5月11日、小腸の「パネト細胞」が分泌する自然免疫の作用因子である「αディフェンシン」が心理的ストレスによって減少し、腸内細菌叢とその代謝物が異常を来すことを明らかにしたと発表した。 同成果は、北大大学院 先端生命科学研究院の中村公則准教授、同・綾部時芳教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。 うつ病は発症に心理的ストレスが強く関与し、脳の働きのバランスが崩れることで抑うつ気分や睡眠障害などを引き起こす、心と身体の症状を伴う疾患だ。現在、長引くコロナ禍の影響で、患者数が世界的に増加の一途をたどっていることが懸念されている。 そして心理的ストレスは脳だけでなく、腸内細菌叢と腸内代謝物に異常を生じさせることもこれまでの研究から報告されていたが、なぜ心理的ストレスによって腸内細菌叢の破綻が起こるのかはよ
こんにちは。全ては塵の部屋から失礼します。 最近ドハマリしてしまったものがあります。 アプリ「ウマ娘プリティーダービー」です。 引用:ウマ娘公式サイトトップページ(https://umamusume.jp/) 「ウマ娘」は実在の競走馬をモチーフにした擬人化育成ゲーム。 発表からゲームリリースまで5年を費やし、途中年単位の公開延期を何度か挟んだ為に一時はアプリ界のサグラダ・ファミリアみたいな扱いをされていました。 が、いざリリースされるとその圧倒的なクオリティから一気にスマホアプリの最先端に。 元々アニメも見ていなければ実際の競馬にも興味がなかった俺ですが、うっかりアプリをDLしてからはありとあらゆる余暇をウマ娘に破壊されています。誰か助けて下さい。 ちなみに俺の推しウマは「ハルウララ」です。 引用:ウマ娘公式サイトキャラクター紹介ページ(https://umamusume.jp/chara
路傍で鮮やかな黄色い花を咲かせて春の訪れを知らせるタンポポ。カントウタンポポをはじめとした在来種と外来種のセイヨウタンポポが混生しているのはわりと知られているが......なんと、今は雑種ががんがん勢力を増して複雑な事になっているのだ。 1975年神奈川県生まれ。毒ライター。 普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。 最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー) 前の記事:ハブに注意!おれの「ハブ注」コレクション > 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー タンポポを見つめる集団 道端にタンポポ、1mほど間を置いてもひとつタンポポ。なんのことはない春の路上の風景を数人の老若男女が囲んで凝視していた。 何じろじろ見てんですか。 傍らに立ってポータブルマイクを付けた男性が解説
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