違法適用の疑いが285事業場ーー。厚労省が8月7日に公表した「裁量労働制」の自主点検の結果だ。 裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ取り決めた時間分働いたと「みなす」制度のこと。「企画業務型」と「専門業務型」の2タイプがあり、適用できる業務が決まっている。 しかし、この285事業場については、対象外の業務をさせていたという。また、ガイドラインでは、企画業務型について「少なくとも3年ないし5年程度の職務経験」を経たうえで、一定の知識・経験等を持っていることを目安としているが、33事業場で守られていなかった。 この調査は、制度を適用している1万2167事業場が回答したもので、全体からすれば違反は少数だ。ただし、「自主」点検なので実際の違反数はもっと多いと考えられる。 裁量労働制は、適切に運用されれば、労働の柔軟性を高めうるが、実際には残業代の抑制などにも使われている実態がある。
ネットでは「修羅の国」とも言われる福岡県。全国に22ある指定暴力団のうち5つがこの県に集まっている。 福岡育ちの記者にとっても、暴力団は身近なところにいた。どこそこに銃弾が撃ち込まれたというニュースは数年に1回は聞いたし、幼稚園の頃には、前から歩いてきた刺青のおじちゃんを指して「遠山の金さんがいるよ」と言って、母の寿命を縮めたこともあった。 2007年には近所の路上で道仁会(久留米)の組長が頭を撃たれて殺されている。夜のニュースでは、ドラマ『踊る大捜査線』のごとく、鑑識が地べたをはう映像の背景に、自宅マンションが映っていて不思議な感覚がしたものだ。 その暴力団の構成員が、2010年に福岡県ででき、全国に広がった「暴排条例」(暴力団排除条例)などによって減り続けている。現在、構成員は2万人を割ったとされる。死亡などの自然減や暗数なども勘案すると、年平均600人程度が離脱しているとみられている
「ヤバイ速が、止まらない」「月間データ量制限ナシ!つまり永年使い放題!」「ギガヤバ革命進行中!」ーー。 モバイルWi-Fiルーターなどを提供する「UQコミュニケーションズ」(東京都港区)の広告について、「ギガ放題」というプランを契約した男性が、実際には速度制限があったとして同社などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京高裁は4月18日、会社側の責任を認め、2万1239円の支払いを命じた。 通信の契約について、裁判で賠償が認められたことは極めて珍しい。今回、決め手となった証拠は、販売店で契約した際のやり取りを録音した「音声データ」だった。 男性の代理人を務めた平野敬弁護士に、今回の判決の意義と録音の重要性などについて聞いた。(編集部・出口絢) ●裁判までの経緯は? 男性はなぜ裁判に踏み切ったのか。まずその経緯を振り返る。 訴えたのは、当時都内のIT関連企業に勤務していた20代男性。男性は201
2015年12月に10年ぶりの新作映画「フォースの覚醒」が公開され、注目を集めているスターウォーズ・シリーズ。若手弁護士で構成される「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、スターウォーズのストーリーを下敷きに、自民党の憲法改正案に含まれている「緊急事態条項」の問題点を解説する記事をフェイスブックに投稿し、話題を呼んだ。「参議院選挙のためにスターウォーズを見ておくべき3つの理由」というタイトルの記事だ。 2012年に発表された自民党の改正憲法の草案では、98条と99条で緊急事態について定めている。戦争や地震災害などの緊急事態が起きた場合に、内閣総理大臣が「緊急事態」を宣言すると、法律と同等の効力がある政令を定めたり、総理大臣が財政上必要な支出をできるようになる。事後に国会の承認が必要だが、総理大臣に強い権限が集中する仕組みになっている。 スターウォーズと比較して、どんな問題点を考えることができ
「不正受給が横行しているのではないか」「利用者が増えると国が大変」——そんな「生活保護制度」へのネガティブなイメージを変え、利用を促すため、日本弁護士連合会(日弁連)がパンフレットを作成し、ネットで公開した。 「あなたも使える生活保護」と題した計8ページのパンフレットには、利用できる人の条件や申請の手順などが、イラストとともに分かりやすく説明されている。また、役所の窓口で申請を断られたときに相談できるNPO法人などの連絡先も、掲載されている。 パンフレットでは、受給資格がある低所得世帯のうち、約2割の世帯しか生活保護を利用していないことが紹介されている。一方、不正受給の比率は、2012年度で0.53%(厚労省調べ)にとどまっており、「全体の1%にも満たない」と説明している。 生活保護の問題にどう向き合えばいいのか。日弁連の貧困問題対策本部で事務局次長をつとめる小久保哲郎弁護士に話を聞いた。
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