母の病の発症、父による老老介護、そして看取りまでを、娘が撮り続けたドキュメンタリー映画の続編が全国各地で感動を呼んでいる。監督の信友直子さんが両親の老いを見つめるなかで得たものは(構成=山田真理) 家事全般を90歳過ぎの父が担う 故郷の広島県市で開いた上映会では、101歳になった父も観て、号泣していました。「ええおっかあじゃった。おっかあと暮らせて、わしゃ本当に幸せじゃった」って……。 認知症になった母と耳の遠い父の暮らしを描いた前作(『ぼけますから、よろしくお願いします。』2018年)を公開した時から、両親の仲の良さ――特に父の母に対する優しさ、慣れない家事に奮闘する姿に「あの年代の男の人には珍しい」という反響をいただいていました。 とはいえ母が元気な頃は、特に仲が良いとも感じていなかったんですよ。母は母でお友だちと趣味の書や絵を楽しみ、父は部屋で本を読んでいれば幸せという人。顔を合わせ