【ベルリン中西啓介、ウィーン三木幸治】海外にアイヌ民族の遺骨が散逸している問題で、日本政府が19世紀後半、アイヌの墓の発掘を禁止する「命令」を出していたとみられることが、オーストリア人の旅行記から分かった。命令が確認されれば、海外からの遺骨返還に必要な「不当な収集」を裏付ける根拠となる可能性があり、専門家は日本政府による調査の必要性を指摘している。 【写真特集】アイヌ遺骨再埋葬…故郷の大地に 神々へ祈り唱え 命令についての記述があるのは、オーストリア人アイヌ研究者グスタフ・クライトナー(1847~1893年)の旅行記「極東にて」(1881年出版)。1878(明治11)年8月に北海道を探検した際のアイヌの調査などをまとめている。 クライトナーらは研究資料としてアイヌの頭骨を入手することを旅行の主要目的の一つにしており、当時北海道を管轄した「開拓使」とみられる官庁に墓の発掘許可を申請。だが