未来を展望するアーティストの力──メディアアーティスト藤幡正樹さんが欧州で学んだこと ゲスト:メディアアーティスト 藤幡 正樹氏【前編】 国際的なメディアアーティストである藤幡正樹氏は、過去に創られた美の保存にばかり力を入れ、新しいものを創造することに重きをおかない日本の美術教育や文化政策を嘆く。美も文化も、常に更新されなければ死んでしまうし、それは私たちの社会やコミュニティの未来を脅かすことになる。そうならないために、誰も考えないようなことを考えて表現するアーティストの存在が重要なのだという。 藤幡氏がそのような考えに至った経緯を、氏がテクノロジーを使った表現活動を始めるきっかけを得た80年代初頭の時代にまでさかのぼって伺った。そこから見えてくるのは、経済的成長ばかりを追いかけて精神的豊かさや文化の重要性を忘れてしまった日本の姿と、20世紀の反省を経て21世紀に獲得すべき新しい知性のあり