『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は紛れも無く、アニメーションの歴史に名を留めるだろう、稀有な作品である。 前回に引き続き、場面の解説を進めながら、その理由を明らかにしていきたい。 渚カヲルは、「償えない罪はない、希望は残っているよ」とシンジに言った。それが「もう一度エヴァに乗る」という選択肢だった。 当然、シンジはこれを拒否するが、DSSチョーカーをシンジの首からはずし、代わりにそれを自分の首に巻くカヲル。 死のリスクを代わりに引き受けるという犠牲的な行為を見て、閉じこもったシンジの心がやわらぐ。 カヲルの提案は、ふたりでエヴァに乗り、ターミナル・ドグマまで降下、そこにあるカシウスの槍とロンギヌスの槍を手にし、ふたりが新たな世界の創造主として、世界を修復するというものだった。そしてそれは、ゲンドウの思惑とは異なったものであるらしい。 「カシウスの槍」は、新劇場版で初出したアイテム(初号機を