ブルペンのドアに「見えない壁」がある 登板前。ブルペンでは木塚コーチが逐一「なにがどこにいて」「何点差で」「バッターが誰で」という確認事項を伝えてくれます。他のピッチャー陣は何も言いません。集中してるので。何かを言える雰囲気ではないです。 ブルペンのドアがあるじゃないですか。あそこに「壁」がある。見えない壁。その手前にいる時は、死ぬほど緊張してます。私なんか毎日「おえー」ってえずいてた。その壁を越えて、表舞台に出た瞬間に緊張しなくなるんです。 それはたぶん、お客さんの声。頑張れとか、頼むぞとか、自分の名前を呼ぶ声が聞こえてくると、そこでスイッチが入るんです。逆にそうならないと打たれてしまう。少しでも注意力が散漫になるとダメです。舞台袖みたいなものですね、役者でいったら。袖では緊張してて、観客の目に入った瞬間にスイッチが入って。そのスイッチを大事にしろというのは、木塚コーチが伝えてたことなん