本作は、南北朝から室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王の実話をもとにしたミュージカルアニメーション。犬王は同時代を生きた観阿弥、世阿弥の父子と同じく足利義満の愛顧を受けていたと伝えられているが、その作品は一切現存していない。キャラクター原案は、湯浅がテレビアニメ化したマンガ「ピンポン」の作者であり、「平家物語 犬王の巻」の装画を手がけた松本大洋が担当。脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」の野木亜紀子が執筆する。今作で松本は小説原作のキャラクター原案、野木はアニメーション映画の脚本に初めて挑戦することとなった。 古川は「私が書いたのは芸能についての小説だ。芸能とは歌であり演奏であり、感情、感動である。私は文字だけでその物語化を成し遂げようと試みた。今回、それらは一冊の本の内側から解き放たれる」と期待を寄せ、湯浅は「歴史にはわずかにしか書き記されていない、『犬