この用語集は、一般社団法人日本印刷産業連合会が2002年に編纂・刊行した『現場で役立つ印刷用語集』を改訂し、Web公開するものです。
この用語集は、一般社団法人日本印刷産業連合会が2002年に編纂・刊行した『現場で役立つ印刷用語集』を改訂し、Web公開するものです。
前回までの記事で、日本語組版のおおまかな歴史と、それを支える書体(主として明朝体)について、おおよその説明が済みました。次はオルタナティブとしての新しい日本語組版について考えていこうと思うのですが、その前に、あらためて日本語組版におけるベタ組みについておさらいしてみようと思います。 あらためてベタ組みとは まず「ベタ組み」そのものについて。ベタ組みとは、隣り合う活字のボディ間に隙間がないことです。文字ではなく、あくまで文字の器である正方形のボディの間に隙間がない、です。文字同士の間に隙間がないと、文字は互いに接触し干渉し、意味理解を妨げることになってしまいますよね。 このボディが正方形であることで、日本語は縦にも横にも組むことが可能になっています。また正方形のなかに収めるために、本来矩形とは無関係に記されてきた仮名文字が、そのデザインを正方形に最適化されてきたことは、前回の記事でも述べた通
今回は組版の根幹を担う、日本語書体の成り立ちについて、その歴史をひも解いていきます。 中国人がつくり、ヨーロッパ人が工業製品化 そもそも明朝体は日本人がつくったものではありません。「明朝」の文字からもあきらかなように、これは中国で生まれた書体です。もともとは木版印刷用書体としてつくられました。 木版印刷は、木材に手書きの版下=印刷用の原稿を裏表逆にして貼り、彫刻刀で凸刻し、スミをつけ、その上に紙をおいて、バレンで摺る印刷法のことです。学校の美術の時間にやった、版画を思い出してください。あれと同じ原理です。 木版印刷では一枚の木材にまとめて文字を彫ります。そのため金属活字版に対して整版あるいは一枚版とも言われます。そしてこの明朝体を、工業製品としての金属活字に採用したのは、じつは中国人ではなくヨーロッパ人でした。 なぜヨーロッパ人が!? それは彼らが中国でキリスト教を伝道するために、大量の漢
これまで日本語組版の考え方について、全角ベタ組をひとつのスタンダードとして考えてきました。それは現在の日本語書体、日本語組版が、全角ベタ組で組まれることに向けて最適化されてきたからです。 このプロジェクトの目標は、「読みやすさ」を日本語組版の視点からいま一度考え、組版におけるオルタナティブを模索することです。そのためにも、まずは日本語組版の基本でありまた到達点でもある、全角ベタ組を理解することが肝心です。 今回は日本語書体のうち、仮名文字についてみていきましょう。その過程は文字が正方形に最適化していく歴史でもあります。 仮名文字の源流「万葉仮名」 そもそも仮名文字とはどういう存在なのか、その成立のところからみていきましょう。 仮名とは漢字をもとにして作られた、日本独自の文字のことです。もともと日本は固有の文字というものをもっておらず、中国大陸から漢字が伝わることで文章を記すようになりました
13 電子書籍フォーマットEPUBと日本語組版 情報管理 vol. 55 no. 1 2012 1. はじめに 電子書籍のためのフォーマットとしてEPUBが注 目されている。EPUBは米国をはじめとして世界中 で用いられ始めており,各国における国内規格化お よび国際規格化も検討されている。従来用いられて きたのはEPUB2であるが,その次期バージョンであ るEPUB31)の制定はすでに完了しており,2012年に は急速に普及することが予想されている。縦書き・ ルビを含む日本語組版はEPUB2ではほとんど扱えな かったのに対し,EPUB3ではこれらを扱えるように 拡張されている。 EPUB3の国際化では高いハードルを乗り越えなけ ればならなかった。W3C注1)のHTMLとCSS注2)に日 本語組版を導入し,それをただちにEPUB3に取り込 むことである。仕様制定(特にW3C)には時間がか
このブログを始めるにあたって、まず、なぜ印刷会社が「電子書籍」に取り組む必要があるのかについて最初に書いておきたく思います。というのも、電子書籍関連のどのセミナーに行ってご挨拶をさせていただいても、「印刷会社です」と言うと意外そうな顔をされる方が多いからです。どうも「電子書籍は出版社の作るもの」との考えが一般的には根付いているようで、印刷会社で電子書籍と言うと「畑違い」との印象があるのでしょうか。 出版業界全てとは言いませんが、少なくとも私が所属している文芸・学術系の書籍出版業界においては、少なくとも技術的な側面に関して、「印刷会社」が電子書籍制作に正面から取り組まなければならない状況が出てきています。そうした状況は、書籍出版業界の伝統的な業界構造に根ざして生まれてきています。 印刷会社は「印刷をするだけ」の存在ではない 一般的な「印刷会社」のイメージは、コンクリートの床の上に設置された巨
中国のニュースや情報を日本語で発信している、サーチナというポータルサイトがある。で、このサイト、下の画像でわかるように段落の先頭行が2字下げになっている。 段落の先頭行を字下げする場合、日本では普通1字分だけ下げるが、中国では2字下げる組み方が一般的。書籍だとこんな感じになっている。 サーチナの創業者・端木正和氏は中国人だが、現在サーチナの記事は日本人の記者が書いているようなので、文章の表現も句読法も日本語として全く違和感がない。ページのデザインも日本のニュースサイトそのものといった感じなので、日本生まれの中国関連ポータルサイトと言われれば信じてしまう人も多いだろう。 そんな中で、こんなちっぽけな空白にサーチナのルーツが顔を覗かせているなんて、なかなかおもしろい。
左から、協議会代行理事で凸版印刷トッパンアイデアセンターマーケティング本部長の名和正道さん、協議会副会長で凸版印刷の大湊満常務、協議会会長でDNPの高波光一副社長、協議会代行理事でDNPの北島元治常務 大日本印刷(DNP)と凸版印刷の2社を発起人とする電子書籍の業界団体「電子出版制作・流通協議会」が7月27日、正式に発足した。新聞社や印刷会社に加え、東芝などメーカーや、NTTドコモなど通信業者、電通など広告代理店を含む89の企業・団体などが参加。「日本の出版文化を残しながら、電子書籍ビジネス発展のための環境作りを行う」としている。 参加するのはこのほか朝日新聞社、毎日新聞社や、トーハン、日本出版販売など取次、ヤフー、ヤッパ、NTTコミュニケーションズ、UQコミュニケーションズなどネット・通信、モリサワ、大日本スクリーン製造といったフォントメーカーなど幅広い。メーカー系はパナソニックや富士ゼ
EPUB や CSS と日本語レイアウト HTML5 と電子書籍 アンテナハウス 村上 真雄 @MurakamiShinyu 2010-07-14 「第8回HTML5とか勉強会」での講演資料 [HTML5プレゼンツールNerine版もあります] 村上 真雄 (@MurakamiShinyu) 自己紹介 Twitterで公開しているプロフィール: XML/HTML+XSL/CSS 自動組版ソフト Antenna House Formatter 開発者 アンテナハウス取締役 W3C会員としてXSLとCSS3仕様に関わる HTML5 IG JP共同議長 JEPA EPUB研究会員 世界標準仕様(特にHTML+CSSとその応用のEPUB)で、まともな日本語組版を可能にしたい Antenna House Formatter 1999年、当時W3Cドラフトだった XSL (Extensible Sty
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25Tel.06-6649-2151代表、以下「モリサワ」)と株式会社ヤッパ(代表取締役社長:伊藤正裕 本社:東京都渋谷区渋谷2-1-5、以下「ヤッパ」)は、電子書籍事業にて協業することを発表いたします。 モリサワフォントと組版エンジンを利用するモリサワの電子書籍ソリューション「MCBook(エムシーブック)」と、雑誌を誌面そのままのレイアウトで表現するヤッパの電子書籍ソリューション「SpinMedia」をひとつのアプリケーションで動作するソリューションとして出版社に提供いたします。第一弾として、2010年9月に日経BP社の電子書籍書店「日経BPストア」での利用が予定されています。モリサワとヤッパは、今回の協業により、雑誌・書籍・文庫の新しい表現方法についても共同で研究開発を行う予定です。 昨今、iPhoneや
『MarkeZine』が主催するマーケティング・イベント『MarkeZine Day』『MarkeZine Academy』『MarkeZine プレミアムセミナー』の 最新情報をはじめ、様々なイベント情報をまとめてご紹介します。 MarkeZine Day
Fashion News Januaryファッションニュース Home.Fashion News.2010.01.Article 01月 12 雑誌「ハイ ファッション」と季刊「銀花」が2月発売号で休刊 文化出版局が発行する雑誌「ハイファッション(high fashion)」と季刊「銀花」が、2010年2月発売号をもって休刊することが決定した。 1960年7月に創刊した「ハイファッション」は、日本におけるモード誌のさきがけとして国内外のコレクション情報をはじめとするファッション、ビューティなどの情報を扱い、およそ50年間に渡り刊行してきた。現在は隔月刊。 季刊「銀花」は、1967年11月創刊。性別、年齢にこだわることなく、"心豊かな暮らし"をコンセプトに日本の美意識を追求し続けてきた。年4回発行。 文化出版局は、休刊の理由として、市場環境の変化や情報ソースの多様化などにより厳しい出版状況が
1994年に府川充男は杉浦康平の仕事をこう評した。 70年代以降の組版技法における例外的に優れた達成としては杉浦康平のいくつかの仕事がある(もとより杉浦による新しいエディトリアル・デザインのスタイルと発想の提唱は”グラフィズム”ないし情報編輯全般に相渉るものであって、タイポグラフィという射影面からのパースペクティヴな視角では一面的に過ぎる嫌いを否めまい。以下の条はそれを承知の上で記しておくことだ。) 思い起こす––横組で本文書体がモトヤ楷書、14Qを一律2歯詰めて12歯送り、リーダーはたしか四点リーダー––1970年代の末ころ池袋パルコで行われた「アジアの仮面展」のパンフレットでこの仕様による本文組版を目にしたときの衝撃が忘れ難い。書体の選定およびそれと一体化した組み方、見たこともない本文組版の表情がなんとも新鮮だった。これを最初に思いつくところが凄い。この時期、杉浦の影響下にさまざまな新
The Chicago Manual of Style(The Chicago Manual of Style, The University of Chicago Press, First edition published 1906) この通称『シカゴ・マニュアル』はとってもクールだと思った。鈴木一誌氏によれば、この本は「編集者のマニュアル」、「本づくりのバイブル」とも呼ばれ、文字組、表記、句読法など、英語印刷物をつくる際のルールを記したいわば「書物についての書物」である(『ページと力』157頁〜158頁)。現在、オンライン版『シカゴ・マニュアル』を利用することができる。 The Chicago Manual of Style Online。 現代思想好きの人なら、鈴木氏も引用しているように(『ページと力』160頁〜161頁)、あのスラヴォイ・ジジェクがこの本をやり玉に挙げて、出版社に
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