ロシアの文豪トルストイ原作の小説「ホルストメール」を舞台化した『ある馬の物語』が、6月から7月にかけて白井晃の新演出によって音楽劇として上演される。 1886年に刊行されたトルストイの小説を舞台化した本作は、人間という愚かな生き物と思考する聡明な馬とを対比させ、人間のあくなき所有欲に焦点をあてながら、「この世に生を受けて生きる意味とは?」という普遍的なテーマを問いかけてくる作品で、1975年にロシアで初演されて以来、国際的に高い評価を得ている。今回は音楽と身体表現の要素をふんだんに取り入れた、白井演出ならではの舞台になるという。 出演者の成河と小西遼生に話を聞いた。 生きていくうえで「所有」からは逃げられない。 ――上演台本を受け取ったばかりのタイミングだとうかがっていますが、おふたりは今、どんな気持ちでお稽古を待っていますか? 成河「この作品の原作はトルストイですし、戯曲も1975年のも