「社会学や現代思想では、境界線を飛び越えたり、撹乱することが、ここ何十年も流行ってます。でも、あえて内地と沖縄の境界線を引き直したいと思っているんです」 BuzzFeed Newsの取材にこう語るのは、この5月、著書『はじめての沖縄』(新曜社)を出した社会学者の岸政彦さん(立命館大大学院教授)だ。 20年以上にわたり、沖縄をフィールドに研究を続けてきた。 「研究をしていると、必ず沖縄との関係が問われる。直接言われるわけではなくとも、お前は誰なんだ、何しにきたんだと」 「沖縄と内地の間には壁がある。境界線もある。だからこそ、内地の人間が研究する意味は何か、とひとつずつ掘り下げて考えるようになりました」 沖縄には「沖縄以外の都道府県のひと」を意味する「ナイチャー」と、沖縄のひとを意味する「ウチナンチュ」という言葉がある。こういう言い方は、他の地域にはほとんどない。 岸さんは、「はじめての沖縄」