特殊製本を手がける職人技【高精細カラー版の製作現場3】今回は、製本工程に関わる職人さんに取材し、その技に迫ります。 巻子装を体感する大判・横本 日本に伝えられた古典籍・古文書を写真撮影した影印版。「原本の様相を精確に伝える」ために、できるだけ原寸に近づけ、可読性が向上するように、大きな判型を採用しています。 原本が巻子装のとき、多くは横本を採用します。通常の書籍では長辺が背になりますが、横本では短辺が背となります。影印版のページを開いたとき、巻子装の感触が実感できるように――横本には「巻物を広げて読む感覚」を実現したいという思いをこめています。 なお、巻子装原本でも、全面に微細な訓点が施されている場合などは、横本ではなく大判の縦本を採用する等、収録原本の様態に応じた選択をします。 特殊製本を手がける職人集団 大判と横本の2つを造本の面から考えますと、「デメリット」も生じます。本文の重量が短