09 July 2010 実験用マウスは、変異を起こしてメラトニンを合成できなくなり、早く性成熟するように進化していた 実験用動物は、生物に関する基本的な知識だけでなく、人間の病気についても貴重な知見を与えてくれる。しかし、実験用の動物は人に長年飼われてきた結果、野生本来の特性を失い、人間の生理機能と異なってしまったため、実験や解析が難しくなる場合もある。 理研脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の加藤忠史チームリーダー(TL)と笠原和起副TLは、まさにそうした難題に遭遇してしまった。2人は、自分たちが開発した双極性障害のマウスモデルを用い、メラトニンが双極性障害のマウスモデルに与える効果を調べようとしていた。メラトニンは、生体の1日周期の概日リズムを微調整するホルモンで、脳の松果体から夜になると分泌される。「以前から、研究者や精神科医は、メラトニンは気分障害と何か関係があるのではないか