■「小泉改革」が“インネパ”の増加に影響した? しかしインド料理のコックの需要はあるわけで、そこにネパール人コックがうまく入り込んでいったのではなかったかと岡本さんは思い返す。 それまでもネパール人コックはインド料理レストランの戦力ではあったのだが、その数がさらに増えていった。そして2000年代前半のことだ。「インネパ」界にとって大きな出来事が起こる。杉並区・方南町(ほうなんちょう)などでインドカレー店「家帝」(イエティと読む)、新大久保でネパール料理&食材店「ベトガト」を営むカドゥカ・ダディワルさん(57)が言う。 「小泉改革ですよ」 大久保駅そばにあるカドゥカさんの事務所で、僕は耳を疑った。小泉改革といえば「聖域なき構造改革」とも呼ばれ、かの小泉純一郎首相(当時)が行ったさまざまな経済政策だ。郵政民営化が大きな話題になったことは覚えている。それがなぜ、ネパール人に影響するのだろうか。