古市憲寿『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)を読む。1985年生まれの若い社会学者が、日本や海外の戦争博物館を訪ねて回るというユニークな本。ハワイのパールハーバーのアリゾナ・メモリアルから始まって、上海の南京大虐殺記念館を訪ね、広島の平和記念資料館やポーランドのアウシュビッツ、ベルリンの国立ドイツ歴史博物館、イタリアのローマ解放歴史博物館、中国の旧満洲国にあるいくつもの博物館、記念館、そして韓国の戦争博物館や竹島の韓国名である独島体験館等々を訪れている。また沖縄を始め、日本各地の平和記念館へも足を伸ばしている。何と戦場跡ということで関ヶ原までも行っているのだ。 さまざまな戦争記念館を訪ねて、巻末には各博物館を「戦争博物館ミシュラン」として採点し、総合点順ベストテンまで発表している。全体にちょっと軽くふざけながらも、左右の見方や国ごとの主張を相対化し、それらを越えた戦争の記憶感といった