2021年9月の発売直後から、想定を上回る注文で商品供給が追い付かないほどのヒットとなった「アサヒ生ビール(通称 マルエフ)」。マルエフは、1986年に発売されたビールをリブランディングしたものだ。28年振りに復活させるにあたり、パッケージやコンセプトも大幅に転換したことが奏功し大ヒットとなった。その決断の裏では、巧妙な「N=1マーケ」が行われていた。担当者に話を聞いた。 「ちょっと不遇で哀愁漂うビール」。アサヒビールのマーケティング本部 新ブランド開発部 担当副部長 ブランドマネージャー渡邊航太郎氏は、「アサヒ生ビール(通称 マルエフ)」のことをそう話す。 マルエフは、1986年にアサヒビールが発売したビール。シェアを大きく低迷させていた当時のアサヒビールが起死回生を懸け、大規模な嗜好調査を実施し発売。ヒットしたものの、翌年(87年)に発売した“たった一歳差の弟分”である「アサヒスーパー