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政治と書評に関するobsvのブックマーク (32)

  • 東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな

    「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうあります。 独裁からこういった選挙があるけど政権交代の可能性がほぼない国までひっくるめて政治学では「権威主義」、「権威主義体制」と言い、近年では今井真士『権威主義体制と政治制度』、エリカ・フランツ『権威主義』のように権威主義を分析したや、川中豪『競争と秩序』のように民主主義と権威主義の狭間で動くような国(東南アジアの国々)を分析したも出ています。 こうした中で書は権威主義体制の戦略、特に権威主義体制における選挙の利用について分析したになります。 権威主義体制に選挙は必要ないような気もしますが、先

    東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
  • 億万長者は金とその影響力によって政治を好き勝手操作する──『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 - 基本読書

    ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち 作者:ピーター・S グッドマンハーパーコリンズ・ジャパンAmazon「ダボスマン」とは、スイスのダボスで行われる世界経済フォーラム総会(ダボス会議)に参加する億万長者たちの呼称である。大勢いるが、有名所では、アマゾンのジェフ・ベゾス、投資ファンド運営の大物スティーヴ・シュワルツマン、合衆国最大の銀行を切り盛りするジェイミー・ダイモンといった面々のことを指している。 で、書は副題に「世界経済をぶち壊した億万長者たち」とあるように、ダボス会議に参加する億万長者たちを非難する一冊である。こうした億万長者たちはダボスに集まって気候変動や感染症、ジェンダー間の不平等といった話題について、国家の枠を超えて対処が必要な多くの議題を討論する。ダボスマンは表向きは世界のため、地球のために私財をなげうってでも献身する──そんなイメージを発している。 たしかに彼ら

    億万長者は金とその影響力によって政治を好き勝手操作する──『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 - 基本読書
    obsv
    obsv 2022/07/21
    ついでに「悪どくない億万長者」も教えてほしい。
  • 温暖化の科学は決着などしていない:『気候変動の真実』

    以前紹介したスティーブン・クーニン著の「Unsettled」の待望の邦訳が出た。筆者が解説を書いたので、その一部を抜粋して紹介しよう。 スティーブン・クーニンは輝かしい経歴の持ち主で、間違いなく米国を代表する科学者の1人である。世界最高峰のカリフォルニア工科大学で筆頭副学長までつとめた。伝説の研究者団体JASONの会長も務めた。コンピューターモデルによる物理計算の権威でもある。 温暖化対策に熱心な米国民主党のオバマ政権では、エネルギー省の科学次官に任命されていて、気候研究プログラムも担当した。 クーニンに対して、非専門家だとか、政治的な動機による温暖化懐疑派だとかする批判は出来ようが無い。 政治的な動機だけいえば、書で書いてあるように、むしろクーニンは多くの政策において民主党を支持している。ならば、党派性からいえばむしろ気候危機説を煽るほうになる。 私利私欲だけを考えるなら、クーニンがこ

    温暖化の科学は決着などしていない:『気候変動の真実』
  • 【書評】トラウマとイデオロギー──マルレーヌ・ラリュエル『ファシズムとロシア』評|乗松亨平

    書にとっては厳しいタイミングでの出版となった。だがこの厳しいタイミングだからこそ、読まれるべきである。 書の原題は「ロシアはファシストか」である。これは修辞疑問であって、現代ロシア政治体制をファシズムとは呼べないというのが著者の主張だ。欧米(やロシア)では絶対悪に等しい「ファシスト」というラベリングによって思考停止に陥ることを諫め、ロシアを西側と連続した反リベラリズムの潮流のなかで捉えるように説く。 著者はロシアの右派研究の世界的第一人者であり、時代の先端を捉える詳細かつ旺盛なそのリサーチは、評者もつねづね参照してきた。その視野が現代だけでなく過去にも広がっていることは、『ゲンロン7』に訳出された、ユーラシア主義とロシア宇宙主義の交錯の歴史を見渡す論文「運命としての空間」からも明らかであろう。書は著者が積みあげてきたリサーチを凝縮したいわば「ベスト盤」となっており、ロシアの現体制

    【書評】トラウマとイデオロギー──マルレーヌ・ラリュエル『ファシズムとロシア』評|乗松亨平
    obsv
    obsv 2022/04/18
    “ロシアの現体制を動かしているのはソ連崩壊というトラウマであり、本来あるべき「常態」とみなされるソ連/ヤルタ秩序への回帰が宿願なのだという本書の見立ては、現下の状況に照らして説得力をもっている。”
  • マイケル・ルイスの感染症に関する新作「最悪の予感」は東京でのコロナ感染者が4000人を超えた今、読んでおく必要があると考えます。 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ

    最悪の予感 パンデミックとの戦い 作者:マイケル ルイス早川書房Amazonマネーボールで著名なノンフィクション作家、マイケル・ルイスの新作はコロナ関連です。 コロナ以前から感染症の危険性についていち早く気づいたアメリカの研究者や医師などがどうやってその危険性を色々な人に知らせたり、ホワイトハウスで対策を立てたり、数理シミュレーションをしたかという話が前半になります。 さらに後半は、せっかくそのような準備があったのにも関わらずなかなか色々な人たちが理解をしなかったり、特に感染症対策について軽んじていたトランプ政権の時代にコロナが始まってしまって、いかにアメリカ内にその影響もあり、前半のような人たちの活躍や警告にもかかわらず、コロナが拡散したかということについてまとめられています。 私が最も衝撃的だったのは、過去の感染症における数理モデルを作ったり、過去のデータを調べてコンピューターシミュレ

    マイケル・ルイスの感染症に関する新作「最悪の予感」は東京でのコロナ感染者が4000人を超えた今、読んでおく必要があると考えます。 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ
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    obsv 2021/08/01
    “たったひとつの決め手となる感染症対策はありませんが、その中でも最も盲点になりつつも最も必要な対策として 「小学校閉鎖の必要性」 を強く示唆していた”
  • 資本主義から逃れることはできるか?(できません) - 読書メモ:『資本主義だけ残った』 - 道徳的動物日記

    主義だけ残った――世界を制するシステムの未来 作者:ブランコ・ミラノヴィッチ みすず書房 Amazon 『資主義だけ残った』では、アメリカを代表とする「リベラル能力資主義」と中国を代表とする「政治主義」、現代の社会に存在するふたつの形の資主義を比較しながら、それぞれの成り立ちや特徴や未来予想図が論じられたりする。 先日に紹介した『自由の命運』や、あるいはフランシス・フクヤマの一連の著作など、英語圏で出版される経済史や文明論では「リベラルで民主主義的な社会は、抑圧的な社会や権威主義的な社会より正しくて望ましい」という規範論が前提とされてしまいがちだ*1。そのために中国のような非民主主義的な国家の経済成長やその他の方面での躍進が予測できなかったり、「一過性のものであって、リベラルな民主主義に移行しない限りは崩壊するに決まっている」と願望込みの予測が述べられたりするようになってしま

    資本主義から逃れることはできるか?(できません) - 読書メモ:『資本主義だけ残った』 - 道徳的動物日記
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    obsv 2021/07/31
    “共産主義とは(略)あくまで封建制から資本主義に移行するための足掛かりとしての価値しかなく、持続性のあるシステムではないのだ。 資本主義のほかに、代わりはない。”
  • 「自由」にケチをつけるな(読書メモ:『自由の命運 : 国家、社会、そして狭い回廊』) - 道徳的動物日記

    [まとめ買い] 自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン Amazon もう図書館に返却してしまって読み直せないので、浅い感想をメモ的に残しておく。 『自由の命運』は経済学(制度論の)であり、様々な時代における世界各国の社会の有り様や国家システムを紹介しながらどういう国では経済や行政がうまくいってどういう国ではうまくいかなかったか、ということが論じられるのだが、その議論の内容は記述的であるはずなのに規範的な趣が強い。 著者たちが強調する価値とは「自由」だ。これは「解題」で稲葉さんも書いていたのだと思うのだが、前著の『国家はなぜ衰退するのか』では様々な制度について分析した結論として「経済が反映したり社会がうまくいくためには自由が必要だ」という議論が提出されていたのに対して、『自由の命運』ではそれを前提とするところから議論が始まってい

    「自由」にケチをつけるな(読書メモ:『自由の命運 : 国家、社会、そして狭い回廊』) - 道徳的動物日記
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    obsv 2021/07/16
    “「規範の檻」は一見すると平等主義的で善いもののように聞こえるかもしれないが、平等主義的な規範がガチで徹底されている社会なんて実際には燦燦たるものだ”
  • ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『自由の命運』 - 西東京日記 IN はてな

    『国家はなぜ衰退するのか』のコンビが再び放つ大作。「なぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか?」という問題について、さまざまな地域の歴史を紐解きながら考察しています。 と、ここまで聞くと前著を読んだ人は「『国家はなぜ衰退するのか』もそういう話じゃなかったっけ?」と感じると思いますが、書は分析の道具立てが違っています。 前著では「包括的制度/収奪的制度」という形で国の制度を2つに分けて分析することで、経済成長ができるか否かを提示していました。「包括的制度」であれば持続的な経済成長が可能で、「収奪的制度」であれば一時的な成長はあっても持続的な経済成長は難しいというものです。 ただし、この理論にはいくつかの欠点もあって、「収奪的制度」という同じカテゴリーに、アフリカの失敗した国家からかなりしっかりとした統治システムを持つ中国までが一緒くたに入ってしまう点です。「どちらにせよ支配者が富を奪ってしま

    ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『自由の命運』 - 西東京日記 IN はてな
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    obsv 2020/09/27
    “経済成長は国家の力と社会の力がバランスが取れたところに生まれ、国家と社会が互いに能力を高め合うことでそれが安定していくという考えです。”
  • ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) epub版 右クリックでダウンロード 読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごいだからだ。 この短いに収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる各種経済学派のちがいは唯一、期待形成のあ

    ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    obsv 2020/09/23
    “メディア の話も、専門家の話も、すべてまったく問題なく今に通用する。一瞬出てくる人工知能への期待とか、たぶん執筆時点の1982年から一周か二周まわって、いまのほうがリアリティ高いかもしれん。”
  • ヒース&ポター「『反逆の神話』刊行15周年インタビュー」(2019年5月9日)

    アンドリューとぼくの共著で出した『反逆の神話』でおもしろいのは,スペインでベストセラーになったことだ.この前,刊行15周年で Manuel Mañero にインタビューを受けた:”15 años después, la contracultura gira a la derecha.” 省略なし全文の英語版をこちらに掲載しよう(質問には著者両名が答えた.) [Joseph Health, “The Rebel Sell at 15,” In Due Course, May 9, 2019] アンドリューとぼくの共著で出した『反逆の神話』でおもしろいのは,スペインでベストセラーになったことだ.この前,刊行15周年で Manuel Mañero にインタビューを受けた:”15 años después, la contracultura gira a la derecha.” 省略なし全文の英

    ヒース&ポター「『反逆の神話』刊行15周年インタビュー」(2019年5月9日)
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    obsv 2020/09/13
    “左派は総じてこの抵抗を「人間本性」が想像以上に変化させがたい証拠だとは解釈せずに,裏切り者や敵,あるいは社会の変化に抵抗する悪者がいる帰結なんだと解釈してしまうんです.”
  • トランプ大統領の誕生を防げなかったリベラル派の総括 - 世界を救う読書

    ・・・という訳で、前回書ききれなかった読書レビューの続きとなります(笑)。 アメリカ政治経済学者マーク・リラ著「リベラル再生宣言」です。 ※レビュー前半はこちら↓ この著者マーク・リラの主張の興味深いところは、20世紀初頭からのアメリカの一世紀の歴史を1970年代までと、1980年代以降に分けて分析しているところです。 リラは1970年代までをルーズベルト体制、1980年代以降をレーガン体制と呼びます。 そして、それぞれの体制のキーワードは ルーズベルト体制では「連帯、機会均等、公共への義務」 レーガン体制では「自主自立、小さな政府」 です。 これはアメリカの話ですが、実はこれって日も似ていると思いませんか? 年代にズレはありますが、戦前〜高度経済成長期の日も連帯や団結が重視され、就職や学業などさまざまな分野で機会均等という考えが広まりました。 そして、そのような公共性を重視する考え

    トランプ大統領の誕生を防げなかったリベラル派の総括 - 世界を救う読書
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    obsv 2020/08/19
    “リベラル派が強く訴えれば訴えるほど、世間からは冷めた目で見られるようになってしまった。それがリベラル派が支持を失っていった原因だとリラは述べます。”
  • 「私たち」という観念を持てなくなったアメリカ社会の危うさ | 文春オンライン

    リベラル再生宣言』(マーク・リラ 著/夏目 大 訳) 米コロンビア大学歴史学部のマーク・リラ教授は、米民主党を支持するリベラル派の知識人だ。「リベラル再生宣言」というタイトルであるが、特定の政治的立場を押し出す宣伝文書ではない。学者の良心に従って、米国の政治と社会の現状を冷静に分析する。リラは最近40年間の米国政治は、国民の分断を加速する常軌を逸した状態になっていると指摘する。〈異常なのは――また恐ろしいのは――最近の四〇年間、アメリカ政治が、市民の消滅を助長する、そしてそれを喜びさえする二つのイデオロギーに支配されてきたということだ。右派においては、公益の存在さえ疑い、必要であれば政府を通じて同胞の市民を助けるという私たちの義務も否定するイデオロギーが優勢であり続けた。一方、左派においては、大学で確立された、個人の属性や集団への結びつきを極端に重要視するイデオロギーが優勢となった。自

    「私たち」という観念を持てなくなったアメリカ社会の危うさ | 文春オンライン
  • 【川端祐一郎】リベラル再生宣言 | 表現者クライテリオン

    8月初めのメルマガで、マーク・リラというアメリカ政治学者が最近書いたを紹介していたのですが、その邦訳版が最近『リベラル再生宣言』(早川書房)というタイトルで出版されておりましたので、改めて触れておきます。 米メディアのブルームバーグが「ブレグジットとトランプ現象を理解するための必読書」(リンク先は英語)を3冊挙げているのですが、その1つは早くから邦訳が出ていたジョアン・ウィリアムズ著『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』という。もう1つは、デイヴィッド・グッドハート著『The Road to Somewhere(どこかに続く道)』で、こちらは施光恒さんと柴山桂太さんが鋭意翻訳中とのことですので、出版されたら皆さん必ず買いましょう! そして3冊目がこの『リベラル再生宣言』です。リラ氏は筋金入りのリベラル派知識人で、書は「トランプ大統領を誕生させてしまったアメリ

    【川端祐一郎】リベラル再生宣言 | 表現者クライテリオン
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    obsv 2020/08/19
    “アイデンティティ・ポリティクスにも相応の言い分があるのですが、リベラル派はそれを「国民が共有すべきビジョン」に繋げる努力を怠っていて、ひたすら国民を、属性の違う様々な集団に分裂させ続けてきた。”
  • 書評:リベラル派によるリベラル批判の書 『リベラル再生宣言』(マーク・リラ) - Going Faraway

    最近では、日でもアメリカでも、「リベラル派」は何となくうさん臭いものと思われている傾向があるようだ。「自由」を旗印に掲げながらも、その自由はリベラル派自身のみにしか適用されず、意見の異なる他者には極めて権威主義的に振る舞う態度を指摘されている。 しかし、そのような途方もない主張をするリベラル派ばかりではない。書『リベラル再生宣言』は、中道左派を自認する著者による、リベラル派が道を誤った理由の解明とその批判、そしてリベラル再生のための提言だ。 リベラル再生宣言 作者: マークリラ,Mark Lilla,駒村圭吾(解説),夏目大 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/10/04 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る *** 著者マーク・リラは、政治思想史を専門とするコロンビア大学の歴史学部教授。上述の通り、穏健な左派の立場を取っており、書の元になった論考はドナルド・

    書評:リベラル派によるリベラル批判の書 『リベラル再生宣言』(マーク・リラ) - Going Faraway
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    obsv 2020/08/15
    “「自由」を旗印に掲げながらも、その自由はリベラル派自身のみにしか適用されず、意見の異なる他者には極めて権威主義的に振る舞う態度を指摘されている。”
  • 「リベラル再生宣言」の衝撃 - 倉持麟太郎|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

    ホワイトハウスのローズガーデンで演説をするトランプ米大統領。トランプリベラルの最大の問題ではないとはどういうことか?=2018年10月1日、ワシントン トランプ大統領は保守とリベラルに勝利した 「立憲的改憲論に批判的な人たちへ」に引き続き、立憲的改憲論について論じる。 このほど、コロンビア大学歴史学部のマーク・リラ教授が興味深いを出した。『リベラル再生宣言』(駒村圭吾[解説]夏目大[訳]早川書房)である。この中でリラ教授は以下のような示唆に富む指摘をしている。 教授は「私は現状に不満を持つアメリカリベラルの1人としてこの文章を書いている」と前置きし、「リベラルはもはや第三の政治勢力にまで地位を低下させてしまったと言えるだろう。今では保守、そして保守でもリベラルでもないと自ら宣言した人々が二大勢力であり、その下ということになる。……率直に言えば、ドナルド・トランプという人物はリベラル

    「リベラル再生宣言」の衝撃 - 倉持麟太郎|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト
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    obsv 2020/08/13
    “一切、話し合おうとせず、自分に反対する者がいれば、皆、道義をわきまえない怪物のようにみなす。決して、ただ考え方が異なるだけの同じ市民だとは考えない、リベラルはそういう人種に見られるようになったのだ”
  • 【読書感想】リベラリズムの終わり その限界と未来 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    リベラリズムの終わり その限界と未来 (幻冬舎新書) 作者:萱野 稔人出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2019/11/28メディア: 新書 Kindle版もあります。 リベラリズムの終わり その限界と未来 (幻冬舎新書) 作者:萱野稔人出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2019/11/27メディア: Kindle版 内容(「BOOK」データベースより) 自由を尊重し、富の再分配を目指すリベラリズムが世界中で嫌われている。米国のトランプ現象、欧州の極右政権台頭、日の右傾化はその象徴だ。リベラル派は、国民の知的劣化に原因を求めるが、リベラリズムには、機能不全に陥らざるをえない思想的限界がある。これまで過大評価されすぎていたのだ。リベラリズムを適用できない現代社会の実状を哲学的に考察。注目の哲学者がリベラリズムを根底から覆す。 社会が「右傾化」し、リベラリズムが危機に瀕している…… そう

    【読書感想】リベラリズムの終わり その限界と未来 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
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    obsv 2020/07/29
    “「意識が高い人たち」が問題視していることと、「大衆」が直面している困難が、あまりにもかけ離れていることに、民主党支持者たちも、違和感を抱えているのです。”
  • 『大戦略論』戦略論の新たなる古典 - HONZ

    近年の中国の経済的・軍事的台頭、イギリスのEU離脱とアメリカ政治的混乱、そして貿易戦争 から始まった米中冷戦の時代を予感あるいは意識してか、この十年間に戦略書が、英語で書かれたものだけを見ても、続々と出版されている。その中でも出版国で評判が高く、日で翻訳されたものが二冊ある。 一つはローレンス・フリードマン(2018)『戦略の世界史(上・下)』(日経済新聞出版社、 原著は2013年刊)であり、もう一つが今、読者が手にされている書である。前者の翻訳が出るのに5年かかったのは、751頁と大著であるからだろう。書は、その半分ぐらいだが、今年の4月に出たばかりで、いくつかの書評によれば評価は高いようだ。両書とも、戦略論の分野の古典になると思う。 著者のジョン・L・ギャディスは、テキサス大学オースティン校で歴史学の博士号を取得後、オハイオ大学教授、アメリカ海軍大学校客員教授などを経て、『大

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  • 対談=吉川浩満×綿野恵太 ダーウィニアン・レフト再考 連続トークイベント〈今なぜ批評なのか〉第一回載録|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    トークイベントの初回なので対談に入る前に、「今なぜ批評なのか」という話をしておきたいと思います。トークイベントのタイトルについて考えていた時、初めに思い浮かんだのは、「横議横行」という言葉なんです。この言葉は一九六八年の活動家だった津村喬が、全共闘運動を総括した言葉です。この言葉のミソは、津村のオリジナルではなくて、藤田省三『維新の精神』からの引用だということです。明治維新において幕末の志士たちが、藩の封建的なタテ関係から離脱し、いろんな横のネットワークをつくっていた。この運動を「横議横行」と呼んだわけです。たいして津村は、セクトや党のタテ関係ではなく、好きなことを好きなようにやる全共闘に「横議横行」を見たんですね。そして、横議横行がそれ自体が引用であるように、保守的な思想でもうまく引用してしまえば、革命的な機能を果たすことができるとも津村は考えました。いまではどの運動も水平的なヨコのネッ

    対談=吉川浩満×綿野恵太 ダーウィニアン・レフト再考 連続トークイベント〈今なぜ批評なのか〉第一回載録|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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    obsv 2020/01/20
    “ダーウィニアン・レフトのアイデアは、人間社会というのは頭のなかで考えた通りに物事がいかない可能性が高いから、人間本性を考慮に入れていろいろと計算しなければならないということ”
  • 平成の名著ベスト10

    平成もあと1週間で終わりなので、この30年に私が書評したのベスト10を選んでみた。 タレブ『ブラック・スワン』 ウィルソン『人類はどこから来て、どこへ行くのか』 フクヤマ『政治の起源』 ネグリ&ハート『<帝国>』 ノース&ウォリス&ワインガスト『暴力と社会秩序』 篠田英朗『集団的自衛権の思想史』 ポメランツ『グローバル経済の誕生』 白川方明『中央銀行』 デリダ『マルクスの亡霊たち』 ミルグロム&ロバーツ『組織の経済学』 平成の始まったころ社会主義が崩壊し、冷戦が終わった。そのとき自由と民主主が勝利したという「歴史の終わり」を宣告したフクヤマが、その後の世界を見て考えを改めたのが3である。その続編『政治の衰退』ではデモクラシーの未来について暗い見通しが立てられているが、2010年代に世界各国で勃興したポピュリズムはそれを例証した。 同じころ日不動産バブルが崩壊し、世界のスーパースターだ

    平成の名著ベスト10
  • 橘玲「不愉快なことには理由がある」 - jmiyazaの日記(日々平安録2)

    集英社 2012年 同じ著者の「バカが多いのには理由がある」の2年ほど前に書かれたで、「バカが多い・・」の背景がこれを読むと理解しやすい。 まず「INTRODUCTION たったひとつの正しい主張ではなく、たくさんの風変わりな意見を」から。 このでは、政治や経済、社会的事件などについての著者の考えを示されるわけであるが、そこに「正しい主張」が書かれているわけではない、という。それは、1)著者がそれぞれの問題については素人であること、2)多くの社会問題では、なにが正しいかはわからないこと(私たちの世界は不確実で、未来を誰も予想できないから)、3)問題には必ず解があるわけではないか、あるいは解があっても実行不可能な場合があること(尖閣や竹島が問題になっているが、主権国家の集合体である近代世界は領土問題を解決する方法を持たないし、先進国と途上国の経済格差の解消のためにはゆたかな国が国境を開放

    橘玲「不愉快なことには理由がある」 - jmiyazaの日記(日々平安録2)