むかし、電車の中でこんな広告のコピーを見た。 『自分のトップ校へ行こう。』学習塾、栄光ゼミナールの広告だった。 当時小学5年生で、同級生は都内の私立中学を受験する子ばかり。「こんなにできないじぶん恥ずかしいな」という劣等感と一緒にランドセルを背負う毎日だった。だからこのポスターを見たときショックだった。なにをトップと呼ぶかはじぶんで決めていい、という考え方をはじめて知ったからだ。実際にわたしはもう勉強のすえ受験をして、のちにかけがえのない中高生活を過ごす学校に出会えた。 それからというもの、わたしは広告を一種のギフトだと思っている。まわりの大人が教えてくれない、おもしろい世の中の捉え方を教えてくれる。考えぬかれたコピーにはホッとしたり、涙がでたり、悩まされたり、いろんな感情をよびおこす不思議なパワーがある。 いまの就職先との出会いも、とある新聞広告がきっかけだった。 わたしが就活生だった年