第25回東京国際映画祭グランプリを受賞した『もうひとりの息子』 (c)Rapsodie Production - Cite Films 第25回東京国際映画祭で最高賞の東京サクラグランプリと最優秀監督賞の二冠に輝いたロレーヌ・レヴィ監督の『もうひとりの息子』。速報ニュースでは、“昨年のグランプリ受賞作に続くフランス映画”という報道もあったが、製作国を一国に言及することにためらいを感じさせる作品だった。監督が、ひとつの国籍や民族、宗教的立場にかたよらないドラマ作りを意識していて、あえて多国籍なスタッフ陣で製作されたからだ。 レヴィ監督自身はフランス系ユダヤ人で、スタジオ撮りは一切せず、撮影はすべてイスラエルとパレスチナで行われ、いずれの地域からもスタッフが集められた。偶然撮影現場に居合わせた住民も、エキストラ参加しており、映画の撮影、製作自体が、ひとつのプロジェクトとして意味を持った作品とも