3.なぜ田中委員長の見通しが狂ったのか 田中委員長の「半年」の見通しの根拠は「並行審査が出来る」とした点にあった。「並行審査」とは、「設置許可変更」、「工事認可」、「保安規定認可」の3つの許認可手続きを並行して行う、というものである。これまでのあらゆる原子力施設の審査は「直列審査」であった。「並行審査」などということは原理的に有り得ないのである。その理由は簡単である。 設置許可の手続きでは基本設計が審査される。その基本設計を受けた詳細設計で決まる工事方法を審査するのが工事認可である。そして詳細設計、工事計画に沿って作成される運転保守方法を審査するのが保安規定である。もし、並行審査を行えば、上流側計画が決まらないうちに下流側を計画することになり、上流側に変更が生ずる度に下流側が全て変更しなければならず、2度手間、3度手間が生ずるので現実的には有り得ない方法である。規制手続きの実務を少しでも経