本作で一番最初の場面として流れるのが、中学生の女の子たちの「バンド」が解散するシーンだ。 それはつまり、この作品のストーリーが「仲間との絆」であったり、「居場所」を失うことを体験して、「傷ついた人たち」の物語であることを示している。 言い争っている登場人物たちの様子を映しながら、流れ続けるショパンの前奏曲「雨だれ」の激しい旋律が不安をあおる。 そのあいだ、ピアノの音と重なるように、窓の外では雨音が地面を強く打ち付けていた。 バンドのメンバーたちがずっと言い争っている中、ほかのメンバーたちに背を向けながら、「窓の外」を見つめている人がいた。彼女は、ほかのメンバーのことを見ていない。 つまり、彼女は誰とも向き合おうとしていない。 「私は……バンド、楽しいって思ったこと一度もない」 彼女がバンドメンバーたちに対して、“決定的なすれ違い”を示す言葉を口にした瞬間に、その場の全員が絶句し、「彼女たち