日本の探査機「はやぶさ2」のように小惑星に着地して石や砂などを採取したNASA=アメリカ航空宇宙局の探査機のカプセルが地球に帰還し、アメリカの砂漠地帯で回収されました。小惑星の石や砂などの試料を地球に持ち帰るのは日本の「はやぶさ」と「はやぶさ2」に次いで3例目です。 2016年に打ち上げられたNASAの探査機「オシリス・レックス」は地球からおよそ3億キロ離れた小惑星「ベンヌ」に着地して、表面にある石や砂などを採取したあと、地球に向かって飛行していました。 そして、24日、採取した石などが入ったカプセルを地球に帰還させるミッションが行われました。 カプセルは直径およそ80センチ、高さおよそ50センチの円盤のような形で、探査機から切り離されて大気圏に突入したあと、パラシュートを展開してゆっくりと地上に降下し、日本時間の24日午後11時52分、アメリカ西部ユタ州の砂漠地帯に着地しました。 そして
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所長の国中均さん=相模原市中央区の同研究所で2018年3月、池田知広撮影 政府は今年秋の褒章受章者を2日付で発表した。国中均・JAXA宇宙科学研究所長(61)は、紫綬褒章に選ばれた。 ◇ 「私がやってきた『電気推進』の研究が認められ、大変名誉に感じています」 研究を始めた1980年代後半、宇宙探査機に推進力を与えるエンジンは、燃料を燃やして噴射する「化学推進」が主流で、電気エネルギーでイオンなどを加速させる「電気推進」は傍流だった。「ごくつぶ…
探査機「はやぶさ2」は21日、小惑星リュウグウへ小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台を分離する。先代の「はやぶさ」では2005年、同じようなロボット「ミネルバ」を搭載していたが、小惑星イトカワへ着陸させることに失敗した。はやぶさのプロジェクトマネジャーを務めた川口淳一郎・JAXAシニアフェローから毎日新聞に、ミネルバの失敗を振り返り、ミネルバ2成功への思いをつづるメッセージが届いた。
2017年8月29日、はやぶさ2が打ち上げから1000日を超えました。前回、ジオスペース探査衛星「あらせ」の松岡彩子先生にプラズマの物理についてお話をうかがいましたが、今回はプラズマつながりということで、はやぶさ2などに使われているイオンエンジンのお話を、イオンエンジンのお兄さん(IES兄)こと細田聡史先生に伺いました。 ひとことで答えるのはなかなか難しいですが、そもそもの話をすると、イオンエンジンというのは「電気推進」の一つです。普通のロケットは、たとえば水素と酸素を燃焼させて推進しますが、これは化学反応を熱源にして推進するので「化学推進」と呼ばれます。固体燃料ロケットも化学推進です。化学推進は物理的な限界があって、どんなに頑張って作っても理論的に吹き出すガスの速度が秒速3km以上にはなりません。これに対して電気の力で物質を加速して推進するのが「電気推進」です。イオンエンジンは、電気推進
はやぶさ2について対談する川口淳一郎・はやぶさプロジェクトマネジャー(左)と、津田雄一・はやぶさ2プロジェクトマネジャー=東京都足立区で15日、永山悦子撮影 東京・足立でCG映画上映会 小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」のCG映画で知られる上坂浩光監督の作品上映会が15日、東京都足立区で開かれ、はやぶさのプロジェクトマネジャー、川口淳一郎・宇宙航空研究開発機構(JAXA)シニアフェローと、はやぶさ2のプロジェクトマネジャー、津田雄一・JAXA准教授がトークショーに参加した。川口さんは若手が引っ張っている現プロジェクトに期待を表明、津田さんは2018年夏に迫ったはやぶさ2の小惑星到着に向けた準備に意欲を示した。 新旧の探査機のトップである川口さんと津田さんの対談は「初めて」(津田さん)という。はやぶさ2は今年4月、小惑星リュウグウに向けた2度目の主エンジンの連続運転を終え、往路のほぼ3分
「では、調整会議を始めます」「8月24日、『ひさき』、11m、3:50~、5:45~……」「8月25日は……」「すみません、8月24日ですが、GEOTAILを1時間半延長したいと思います」「運用者アサインは問題なさそうですね」「今週の日曜日は停電作業がありますが、伝送系システム担当よりもう少し余裕が欲しいとのことで、『ひので』の早朝パスをオフライン運用でお願いしたいのですが」「いいですよ。では、このパスをオフライン運用で」「承知致しました」「来週ですが、台風が鹿児島に近づいているようです」「荒天対策会議はいつ行われるか、聞いていますか」「確認して、あらためてお知らせします」「暴風域の時間帯は運用休止となるので、この日あたりは、あまり重要な運用は予定しない方がよさそうですね」…… 毎週木曜日、こんなやりとりが宇宙研の片隅で行われています。今回は、地上系の中でもあまり表には出てこない、運用調整
NECプロジェクトマネジャー、大島武さんインタビュー 日本初の人工衛星「おおすみ」以来、多くの衛星、探査機の開発に携わっているNECで、小惑星探査機「はやぶさ2」と金星探査機「あかつき」という二つの探査機のプロジェクトマネジャーを兼務する大島武さん(49)。小惑星探査機「はやぶさ」の開発にも構想段階から参加し、最近の日本の惑星探査に深くかかわる。二つの探査機開発・運用の現状や今後の展望を聞いた。【聞き手・永山悦子】 −−あかつきが今年12月の金星周回軌道への再投入に向けた軌道変更に成功し、先月末には(太陽熱の大きな影響を受ける)太陽の最接近点も通り抜けました。プロジェクトマネジャーとして、どんな気持ちですか。 この記事は有料記事です。 残り5326文字(全文5634文字)
小惑星探査機「はやぶさ2」の運用メンバーとして、日々コードを書いているJAXAの佐伯孝尚さん。前編では、はやぶさ2に関わるプログラミングの意外にも柔軟な側面について聞きました。後編では、はやぶさ2が小惑星に近づき、ミッションを成し遂げるためのシステムに迫ります。 佐伯孝尚(さいき・たかなお)さん JAXA 宇宙科学研究所助教。東京大学工学部卒。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。専門は宇宙航行力学、宇宙システム工学。学生時代に「はやぶさ」プロジェクトに関わり、現職でソーラー電力セイル実証機「IKAROS」や、小惑星探査機「はやぶさ2」の運用・開発に携わる。 ただ降りるだけが、非常に難しい ―はやぶさ2を運用していて、緊張する瞬間はどんな時でしょうか。 打ち上げや、イオンエンジンが初めて動作するなど、はやぶさ2に搭載されている機器がオンボード(探査機にあらかじめ組み込んで
地球軌道の外側にある小惑星「1999JU3」を目指す「はやぶさ2」。そのNECプロジェクトマネジャー(プロマネ)は大島武。彼にはもう一つの顔がある。それは、現在金星を目指して飛行する金星探査機「あかつき」のプロマネである。太陽系における地球軌道の内側と外側へ旅立った2つの探査機。それらを造りあげた大島は、「はやぶさ2」において「あかつき」の経験が大いに活きたという。過去になく短い期間に、多くの人たちの力を得ながら進めたプロジェクトで、何を考えどう動いたのか。また今の心境を聞いた。 大島 武 NEC 宇宙システム事業部 エキスパートエンジニア NECには1990年に入社し、最初はシステムの担当ではなく、衛星搭載機器の開発担当でした。SFU(宇宙実験・観測フリーフライヤ:1995年打ち上げ)に搭載した実験装置、「みどり」(1996年打ち上げの地球観測衛星)搭載センサのデジタル信号処理装置、火星
週プレNEWS TOPニュースIT・科学あわや計画中止も? 難渋した「はやぶさ2」の舞台裏から知る、日本の宇宙探査の現状と宇宙開発の科学的な意味 「日本には宇宙開発に関する高い技術の蓄積がある。これを絶やさず、将来につなげる意味でも『はやぶさ2』の意味は大きい」と語る松浦氏2010年、日本中に大ブームを巻き起こした小惑星探査機「はやぶさ」の帰還から、約4年半。昨年12月、その後継機である「はやぶさ2」が鹿児島県の種子島宇宙センターから旅立った。 このはやぶさ2打ち上げに至る道のりは平坦なものではなく、そこには日本の宇宙開発に関わる多くの技術者、関係者の苦闘の歴史が刻まれているという。 その舞台裏をまとめた松浦晋也氏の著書『はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査』は、はやぶさ2計画実現に至るまでのストーリーを軸に、日本の宇宙開発技術の可能性や「惑星サンプルリターン」の科学的意味などをわかり
「『はやぶさ』−2つのミッションを追って」発刊 この本「『はやぶさ』−2つのミッションを追って “HAYABUSA”ミッション9年間のドキュメント」(誠文堂新光社、1512円)は、「はやぶさ」ミッションを書いたものなのですが、ちょっと異色です。それは映像作家である僕が、「はやぶさ」「はやぶさ2」ミッション(「はやぶさ」は2003年5月に打ち上げられ2010年6月に地球帰還)の傍らで歩み続けた9年間を綴(つづ)ったものだからです。そしてもう少し言えば、それは僕だけのものではなく、「はやぶさ」を応援した沢山(たくさん)の人達と共に歩いた道程でもあります。僕は今、この本を書き終えて、映画という媒体、そして映画作りという過程が、人と人とを繋(つな)ぐ橋渡しになったのだと強く実感しています。 僕が作ったのは、プラネタリウムのフルドーム映像作品です。まだ「はやぶさ」が小惑星イトカワにいた頃に、地球帰還
12月3日(水)13時22分04秒。 人工衛星「はやぶさ2」が打ち上げられます。 本来は11月30日打ち上げ予定で、天候の問題で延期になりました。 どんな種類があるのか。どこを回っているのか。 『現代萌衛星図鑑第2集』は、人工衛星の活躍を知ることのできる入門書です。 「全記録集」ではありません。 はやぶさ、かぐや、だいち、ひとみ、HTV、あかつき、はやぶさ2。 人工衛星の活動の中で、ドラマチックだった部分をピックアップ。構造の図解を載せながら、出来事を物語風に綴っていく本です。 成功事例やトラブルをあげていけば、自然と「どんな人工衛星なのか」がわかる。開発の歴史もわかる。 たとえば、陸域観測技術衛星「だいち」。寿命限界まで世界中の地形や災害を撮影しました。 特に東日本大震災の時は、東北の様子を克明に記録し、地上に届けました。 2011年5月12日午前10時50分、寿命により、活動を停止。
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