ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二さんが青色発光ダイオード(LED)の開発に成功したのは会社員のときだった。社員が仕事で発明した特許は今、「社員のもの」だが、政府は「会社のもの」に変えようとしている。社員の発明はいったい誰のものなのか。 ◇ <議論のポイント> ・国際競争力を高めるには ・高額対価は必要か ・社員の間で不公平を生むか ◇ 〈特許法の改正論議〉社員が仕事でした発明について、現行特許法は特許を受ける権利を「社員のもの」と定める。企業は勤務規則で発明に見合う対価を社員に支払い、権利を譲り受けている。しかし産業界の批判が強く、政府は「会社のもの」に変える改正法案を早ければこの臨時国会に提出する方針。発明した社員への報奨を企業に義務づける規定も盛り込まれる見通し。 弁護士・升永英俊さん サラリーマン発明者の夢守れ 日本は1921(大正10)年から93年間も特許は「サラリーマンの
防衛・外交などの「特定秘密」を指定する特定秘密保護法案は衆議院を通過したが、参議院では自民党の石破幹事長の失言を野党が追及し、12月6日に会期末を控えてぎりぎりの駆け引きが続いている。朝日新聞を先頭に、メディアは「特定秘密保護法反対」の大合唱だが、そのほとんどは誤解である。 一番よくある誤解は「戦前の治安維持法のように言論統制を行なう法律だ」というものだ。治安維持法はすべての国民を対象にする法律だったが、特定秘密保護法は「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める」(第1条)ものであり、その対象は一般国民ではない。 規制対象になる「特定秘密の取扱者」は主として国家公務員だが、政治家も含まれる。政治家の情報管理はいい加減で、2001年の同時多発テロのときは田中真紀子外相が国防総省の避難先を記者会見でしゃ
前回のブログでは禁酒法について書いた。それをきっかけに、あの時代の「後遺症」について考え始め。アメリカではいまだに酒の販売が、よくも悪くも、かなり厳しく規制されている。ときには、ばかばかしく思えるほどだ。 第1に、ふたの空いた酒の容器を持ち運んではいけないという法律があることだ。アメリカの州の大半が、公の場所での飲酒を禁じている。それが大いに納得できる場合もある。例えば、大晦日のタイムズスクエア。あそこに集まる群集が酒を持ち込んだら、とんでもない混乱状態になるだろう。 だが他のケースでは、興ざめというしかない。公園でのピクニックは酒抜きということになる(ただし、夏の野外コンサートではこのルールも骨抜きになる。みんなで渡れば恐くない、というやつだ。全員が規則違反をしていれば、全員に罰金を科すわけにはいかない)。 もっとも、入り口でかばんをチェックされることもある。そのせいで、ある友人の誕生パ
中川昭一元財務・金融担当大臣の突然の訃報から、ひと月以上がたった。はっきりとした死因は伝えられていないが、“過労死”という文字が私の頭の中ではちらつく。もちろんこれは私の印象であり、勝手な憶測はすべきではない。 過労死は、英語でもKaroshiやKaroushi。数年前までよく耳にしたり目にしたこの言葉も、今ではすっかり鳴りを潜めるようになった。先月末、マクドナルドの名ばかり管理職の女性店長が過労死と認定されたとの報道で、久しぶりに過労死という言葉を聞いた人も多かったことだろう。 メディアで聞かなくなると、どんな出来事も過去のこととして人々の意識から消えていく。だが、登場回数が減ったからといって過労死が減っているわけではない。むしろ事態は深刻になっているのである。 まずは、ここ数日の間に報じられた二つの調査結果をご覧ください。 (その1) 労使間で月80時間を超える時間外・休日労働を認める
9月30日と10月2日のエントリでお話した、国際離婚に関わる親権争いですが、今回のオバマ訪日の際に何らかの動きがあるかもしれません。というのは、子供を強制的に連れ出そうとして福岡県警に逮捕されていた父親のクリス・サボイ元容疑者が色々発言を始めているからです。サボイという男性は、いつの間にか不起訴処分になっていて、アメリカに帰国していたのです。そのサボイ元容疑者は、こともあろうにオバマ大統領が日本行きの専用機に乗り込む数時間前に、現在のエイミイ夫人と一緒に12日の朝にCNNの「独占インタビュー」に応じていました。 詳しくは一カ月半前のエントリを参照していただきたいのですが、クリス・サボイという男性は14年間連れ添った日本人の元奥さんと離婚してアメリカ人女性と再婚する際に「共同親権」を維持したいために「元妻と子供たちを騙すようにしてアメリカに引っ越させ」た、報道を総合するとそう理解ができます。
一昨日のこの欄でお伝えした「日米親権争いでの逮捕」事例ですが、その後様々な動きが出てきています。まず大きかったのは、9月30日の水曜日にNBCテレビの朝のニュース番組『トゥデイ』でこの事件が取り上げられたことでした。日本で逮捕されているサボイエ容疑者の弁護士が、NYのスタジオに生出演して「日本には違法に略取された米国市民の子供が最低125人いて、未だに1件も解決していないんです」と主張したばかりか、テネシーからはサボイエ容疑者のエミイ「夫人」が登場して「私はあの子達(サボイエ容疑者が連れ出そうとした日本人女性との2人の子供のこと)を可愛がっていました」とか「早く夫を返して欲しい」と涙ながらに訴えたのです。 このNBC『トゥデイ』の視聴率は「ニュース専門ケーブル局」のCNNなどとは比較になりません。ある意味でアメリカの「本流メディア」であり、ここで10分間も取り上げられるということは、世論形
このブログで以前にお話した日米での親権争いですが、遂に今週は逮捕者を出すという事態となりました。まず改めて背景をお話しておきましょう。世界中で国際結婚が増加する中、国際間の結婚が不幸にも破綻した場合に、親権を決め、親権のない方の親の面会権を保障し、養育費の支払いに強制力を働かせなくてはなりません。その場合に、子供の人権を守るために国境を越えて関係国が協力して、離婚調停の結果を履行させるために「ハーグ条約」というものがあり、多くの国がこれを批准しています。 ところが日本はこの条約を批准していません。理由は明白で、日本の民法では両親が離婚した際に、(1)子供が双方の親を行き来する共同親権制度がない、(2)親権のない方の親の面会権が保障されていない、(3)養育費の支払いについて「差し押さえ」などの法的な強制力がない、という制度となっており、ハーグ条約の前提を全く満たしていないからです。これに加え
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