解説 沖縄発のバンド「やちむん刺激茄子」のリーダー・奈須重樹は2021年で音楽活動30周年を迎えた。玄人筋には評判が良い作詞作曲能力だが、これまで小ヒットが一曲のみ。それでもめげずに活動を続け、今は流しを中心に日銭を稼ぎながら精力的に新曲を発表している。 そんなイマイチ“売れない男”が脚光を浴びたのが、バンド結成25周年記念で挑んだ【首里劇場】ライブである。満員の聴衆を前に天衣無縫なパフォーマンスを繰り広げ、沖縄最古の映画館を華やかな空気で包み込んだ。 監督の當間早志は、彼を長年撮影し続けてきた盟友。18人編成のビッグ・バンドで臨んだライブを迫力たっぷりに活写しつつ、奈須のインタビューを通して、彼が紡ぐ楽曲の唯一無二の魅力を伝える。長い年月を経た建物だけが醸し出せる強烈な【首里劇場】の佇まいも見どころだ。 熟成30年、沖縄的古酒伊達者(オキナワン・クース・ダンディー)の叫びは、見る者すべて