【北京=五十嵐文】中国国防省が23日、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定したことで、尖閣諸島上空で自衛隊機と中国機による不測の衝突の危険が高まり、対立が続く日中関係にさらなる緊張をもたらした。 習近平(シージンピン)政権は、尖閣諸島の主権を主張するため一方的に危機感をあおり、安倍政権に譲歩を迫る構えとみられる。 防空識別圏の設定は、中国政府が、昨年9月の日本の尖閣諸島国有化から1年を前に決定した「政経分離」の方針を明確に示すものといえる。中国の実利につながる日本との経済協力など民間交流は再開させる一方で、尖閣諸島をめぐる対立では譲歩しないという新たな対日方針だ。 「知日派」として知られる中国の王毅(ワンイー)外相は今月19日、中国共産党や軍関係者を集めた報告会で、日中関係について「日本は現実を直視して言行を慎み、中国の主権、権益を損なうことを繰り返さないことだ」と述べ、厳しく