マッチングアプリの普及により、将来の結婚をほのめかしてターゲットを取り込む手口が増えているという(gettyimages) 正体を隠して勧誘する宗教団体とともに、全国の大学などが警戒を呼びかけ続けているのが、いわゆる「マルチ商法」の勧誘被害だ。「欲を出してだまされた」「もうけ話に乗った方が悪い」との自己責任論も散見されるが、専門家によると悪質な宗教団体と同様に、ターゲットをマインドコントロールで支配していくのだという。マルチの勧誘実態と、コロナ禍以降に目立つ手口を取材した。 【写真】かつて社会問題となった宗教団体「摂理」の現在 * * * 「私たちの将来のために、もっと収入がいるよね」 都内のとある喫茶店でそう切り出した若い女性に、深くうなずく若い男性。 一見すれば結婚へと向かう幸せそうなカップルの会話だが、実は女性は、あるマルチ商法の一員である。2人はマッチングアプリで出会い、“お付