人生をダメにする「楽観バイアス」 前回、老後破綻について書きましたが(http://president.jp/articles/-/18036)、少し補足しておきます。 老後破綻の原因は、計画を「立てない」ことにあるのではないと思います。計画はちゃんと立てているケースが多いです。問題は、その計画自体に「楽観バイアス」がかかっているため、非現実的なものになっているということです。 ノーベル賞経済学賞受賞の認知心理学者ダニエル・カーネマンは、楽観バイアスがかかる現象を「計画錯誤」という言葉で表現しています。 計画錯誤とは、「時間や予算など計画完遂に必要な資源を常に過小評価し、遂行の容易さを過大評価する傾向」で、人間の思考の非合理性ゆえに生じてしまう予測エラーのことです。 計画錯誤については、学位論文を書いている大学4年生を対象にした別の心理学者による実験で数値化されています。その学者はある論文