神戸市で新型の豚インフルエンザによる国内初感染が確認されたのは今月16日。わずか2日間で感染者は兵庫、大阪両府県で160人を超え、勢いは止まりそうもない。自治体側の対策が追いつかず、医療態勢はパンク寸前だ。国がつくった机上の想定が、「現実」に追い越された。 政府の対策行動計画は、患者発生の段階に応じて対策を決めている。政府は16日、国内での感染確認を受け、「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生早期)」にレベルを引き上げた。しかし、両府県の現実は、次の段階の「拡大期」も通り過ぎ、病床や薬が不足する「蔓延(まんえん)期」寸前の状態だ。 原因は、最初の発見の「遅れ」にある。事態は発覚前に、水面下で進んでいた可能性がある。 国内初の感染者の男子高校生でバレーボール部員は16日、遺伝子検査で感染が確認された。バレーボール部の試合などで交流があった複数の高校に感染が広がっていた。