中国・武漢から始まった新型ウイルスの大流行(パンデミック)が、世界を一変させようとしている。ヒト、モノ、カネが自由に国境を越えて行き交うグローバリズムは後退を余儀なくされ、非常事態を大義に国家の介入が強まる。「コロナ後」の世界においては、中国の「新しい社会主義」が米国などと対峙(たいじ)する「新冷戦」が激化するのは必至だ。 「終わった」はずの歴史が、再び動き始めようとしているのか。1989年、東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊。1991年のソ連(現ロシア)消滅をもって、世界が資本主義(=西側)と社会主義(=東側)の両陣営に分かれて争う冷戦時代に終止符が打たれた。米国の政治学者フランシス・フクヤマ氏は1992年に出版した著書で、それを「歴史の終わり」と表現。民主主義と自由主義を特徴とする西側世界が最終的に勝利を収め、イデオロギー対立は過去のものになったと主張した。 それから30年―。退場