物語はさまざまな差異をつくりだすが、風評は全体化する。 ――ミシェル・ド・セルトー(Certeau, 1980=2021: 267※1) もう2カ月ほど経ってしまったが,新卒で3年間くらいお世話になった中央省庁を辞めることになった.この3年間は非常に学びが多く,かかわった方々には感謝してもしきれない思いだ.ここでは,自分のキャリアについて語っても意味がないので,実際に働きながら考えていたことをメモしておこうと思う. ※1 Michel de Certeau, 1980, L’invencion du quotidien, 1, Artes de faire, U.G.E., coll.. (山田登世子訳,2021,『日常的実践のポイエティーク』筑摩書房.) 1.ことばづくり 役所の仕事においては,いわゆるペーパーワークが非常に多い.少し前にグレーバーの著作をもとに書いたように,社会における