婚姻届を提出し、夫婦は同一の姓となるリベラルと称する人たちが、総選挙の争点の一つと主張していた選択的夫婦別姓の是非。大方の予想を裏切って、夫婦別姓に慎重な岸田文雄首相率いる自民党が総選挙に勝利してしまい、藪蛇(やぶへび)となった感がある。 福井義高氏とはいえ、夫婦同姓論者も単に伝統を持ち出して反対するだけでは、確信的な別姓論者はもとより、聞く耳を持つ中間層も説得することはできない。そこで、夫婦別姓に功利的視点から反駁(はんばく)してみたい。 リベラルは国家主義者まず、夫婦同姓に限らず、長年続けてきた制度は、よほど不都合がなければ、劇的に変化させることは合理的でない。既存制度は、現実に経験してきたことなのでどうしても欠陥が目立つ。一方、抜本的改革案は、当然ながら、よいことばかり強調される。しかし、われわれの将来を予測する能力は極めて限られ、想定外のマイナスの事態に遭遇しても、後の祭り。確かに