認知神経科学、発達心理学の専門家のメアリアン・ウルフ教授(UCLA)によると、「デジタルで読む」ときと、「紙の本で読む」ときでは、脳のちがう部分が働いているそうです。メアリアン・ウルフ氏は失読症(ディスレクシア)の専門家であり、失読症の子を育てた母親でもあります。彼女は次のように指摘します。 印刷で読むか、画面で読むかによる、認知および感情の差異を調べたのです。…学生被験者に、短編小説を読んで、それについての質問に答えるように指示しました。物語の筋書きは、学生みんなに訴えかけそうなものです(つまり、欲望うずまくフランスのラブストーリー)。「ジェニー・わが愛」を、学生の半分はキンドルで読み、あとの半分はペーパーバックの本で読みました。 その結果、本媒体で読んだ学生の方が画面で読んだ仲間より、筋を時系列順に正しく再現できることがわかりました。言い換えれば、フィクションで見落とされがちな細部の順