東日本大震災一色の報道でほとんど話題にならないが、1980年代の都市型消費をリードしてきたパルコが落城寸前である。株を買い占めたイオンが、パルコの筆頭株主である森トラストと組んで現経営陣の総退陣を求めている。本邦では珍しい敵対的買収劇が成立する公算が高い。 流通業界のなかでパルコはひときわ異彩を放ってきた。西武百貨店や西友などとともに堤清二率いるセゾングループの一角を占めてきたが、経営面の自由度は高く、パルコは独自路線を歩むことを許されてきた。若者向けのファッションやアクセサリーを充実させる一方、PARCO劇場や傘下に有したレコード店WAVE、書店LIBRO、ライブハウスのクアトロなどカルチャーをビジネスにするのが上手だった。 そんなパルコの漂流が始まったのが、2001年のセゾングループの解体だった。伊東勇社長(現取締役相談役)がかねてから親交のあった森トラストの森章社長に頼み込んで、放出