アナキスト/フェミニストの高島鈴が、社会現象級の大ヒット作を正座で熟読。マンガと社会を熱く鋭く読み解く、革命のためのポップカルチャー論をお届けします。 第2回は、アニメ化を機に4500万部の大ヒット作となった芥見下々『呪術廻戦』(2018年より連載中/集英社)。連載開始と物語の始まりは同じ2018年。明確に「今」を描く本作において、子どもたちはなぜ戦うのか――。 ※本稿は単行本15巻までの内容を含みます。 ●『呪術廻戦』の立ち位置 少年漫画において、社会正義をいかに語るかは常に重要な論点である。子どもたちが戦う漫画であれば特にそうだ。なぜその「敵」と戦う必要があるのか? なぜ「敵」に立ち向かうのが「少年」たちなのか? これらを説得力をもって語るには、戦う理由を社会の中に位置付ける必要があるはずである。 ティーンエイジャー、あるいはそれ以下の読者に空想の冒険を提供するために、子どもを主人公に