五輪のシンボルとなる新国立競技場が相次ぐ計画変更にさらされている。JSC関係者は「費用や工期という現実に直面するにつれ、(当初計画の)実現が難しくなった」と率直だ。 2013年9月に開催が決まったが、招致段階で新国立競技場の総工費は1300億円だった。しかし、基本設計を立案する段階になり、総工費は3000億円規模まで膨らむことが明らかになった。課題だった国民世論の支持率を高め、招致を実現するため、予算を低く見積もったことのツケが回ってきている。 工費を抑制するため、新国立競技場は当初の姿から変わってきた。13年11月、床面積を25%削減する縮小案が提示され、流線型のラインが近未来を予感させる世界的建築家のザハ・ハディド氏の原案は失われた。 また、招致段階では「最先端の競技施設」と日本の技術力をアピールした。その一部が音楽ホール並みに音響効果を高める遮音性の高い開閉式屋根、臨場感を増すために