■ OECDガイドラインの8原則についてChatGPTに聞いてみた ChatGPTに色々聞いてみるテストは1月にTwitterに結果を報告していた*1が、GPT-4が使えるようになったということで、もう一度やってみた。ChatGPTは基本的に、質問者に迎合しようとする(質問者の期待に応えようとする)ので、ChatGPTが答えたといっても質問者の意図した答えになっているにすぎない(それゆえ、質問者の意図が明確にされず、ChatGPTも知らないことが問われると、全くの出鱈目を答えてしまうという現象が起きるようだ。)わけであるが、それでも、質問者が誘導しているわけでもないのに質問者が必要としていることを言葉の端々から察知して根拠を探してきてくれるような回答をする。以下は、できるだけ誘導しなように(といっても、後ろの方で明確に誘導しているところもあるがw)質問した例だが、最初のうちはChatGPT
(語り手)JILIS副理事長 高木 浩光 (聞き手)JILIS出版部 編集長 小泉 真由子 (撮影)宇壽山 貴久子 この1年、過去の海外文献を調査していたという高木浩光さん。これまでの研究の一部は情報法制レポート創刊号の特集として掲載されましたが、高木さんに言わせると「あれはまだ序の口」とのこと。本日お伺いする内容は近々高木さん自身が論文にされる予定とのことですが、まだ時間がかかりそうということで、急ぎ、インタビューとしてお話しいただくことになりました。なお、このインタビューは大変長くなっております。ぜひ、最後までお付き合いいただければと思いますが、時間のない方は、目次を参照していただき、気になるトピックからお読みください。 —— 今日は、高木さんがどうしても今すぐみなさんに伝えたいことがあるとのことで、インタビューでお話を聞くことになりました。 高木: はい、よろしくお願いします。話はと
■ 緊急速報:マイナンバー法の「裏番号」禁止規定、内閣法制局でまたもや大どんでん返しか まえがき 個人番号(マイナンバー)を、法定された目的(税とか社会保障とか)以外で他人に対して提供を求めることが禁止されていることは、わりと広く知られており、みんな遵守してきたところだろう。だが、今、どう見ても目的外で提供を求めている(自社サービスの利用者登録の目的とされている)スマホアプリがあるということで、個人情報保護委員会の出方が問われているところ、宇賀説(宇賀克也『番号法の逐条解説』有斐閣)によれば合法ということになるのではないか?(おそらく弁護士らもそれを参考にしていたのでは?)という話が出ているのだが、これについて、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、平成25年法律第27号)の立案過程で、内閣法制局で二転三転していたことが判明したので、至急、速報的に、こ
■ 郵便事業がコモンキャリアを逸脱すれば郵便物を差し出す事業者が個人情報保護法に抵触する 総務省の郵政行政部が「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」の最終報告書(案)のパブコメ募集をしていたので、先ほど急いで書いて提出した。 「『デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会』最終報告書(案)」に対する意見 東京都墨田区在住 高木浩光 2021年7月12日 意見1 仮名加工情報に過大な期待が見られるが制度に誤解があるのでは 報告書案5頁には、「こうしたデータ活用のためには、たとえば令和2年改正後の個人情報保護法の定める『仮名加工情報』の仕組みの利用が考えられる」とあり、13頁には、「特定のエリアにおける郵便物の動き(配達データ)等を分析し、地域の経済活動の見える化やグループ内でのエリアマーケティング等に活用」の手段として「仮名加工情報」の利用が例示されているが、そもそも
■ テレフォンバンキングからのリバースブルートフォースによる暗証番号漏えいについて三井住友銀行に聞いた 先週から、「ドコモ口座不正引き出し事件」の原因として、被害の発生した銀行が4桁数字の暗証番号で認証処理していたことが取りざたされており、リバースブルートフォース攻撃の手口が暗証番号特定の手段として使われた可能性について、テレビのワイドショーでも扱われるなど、世間での認知がかつてなく高まっている。 そこで、この機会に、昔から存在していたテレフォンバンキングの危険性について、銀行側に抗議すれば今ならご理解いただけるのではないかと考えた。この問題は十数年前にも銀行側に伝えているが、サービスを止めるわけにもいかないし、電話経由での自動処理による攻撃は考えにくいと当時は考えられたのか、対処されることはなかった。2020年の今日、電話経由のサイバー攻撃は技術面で十分に容易に可能となっていると考えられ
■ 続・検察官は解説書の文章を読み違えていたことが判明(なぜ不正指令電磁的記録に該当しないのか その4) Law & Technology誌に、板倉先生から解題をいただき、横浜地裁のコインハイブ事件無罪判決についての評釈を書かせていただいた。 Law & Technology No.85, 民事法研究会, 2019年10月 板倉陽一郎, 解題 コインハイブ事件, pp.15-19 高木浩光, コインハイブ事件で否定された不正指令電磁的記録該当性とその論点, pp.20-30 横浜地裁でモロさん事案が無罪判決となり、その後、検察側が東京高裁に控訴し、公判が未だ開かれない状況にある中、ここ(日記)に書こうと思っていたことを、法学雑誌の判例評釈スタイルで書いた。内容は基本的に4月26日の日本ハッカー協会のセミナーでお話し*1したこと*2(の一部)であるが、いくつか新たな根拠も見つけたのでそれを含
■ 天動説設計から地動説設計へ:7payアプリのパスワードリマインダはなぜ壊れていたのか(序章) 7payの方式はなぜ許されないのか、なぜあんな設計になってしまったのか、どう設計するのが正しいのか、急ぎ書かなくてはいけないのだが、前置きが長くなっていつ完成するかも見えない。取り急ぎ以下のツイートでエッセンスを示しておいた*1が、すでにわかりかけている人達にしか刺さらなそうだ。 そもそもスマホアプリ の時代、もはやauthenticationですらないと思うのよね。(何を言ってるかわからねえだろうと思うが。) — Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) July 8, 2019 同様のことは4年前にNISCのコラムに書いたが、消えてしまっているので、ひとまず、その原稿を以下に再掲しておく。 スマホ時代の「パスワード」のあり方を再考しよう 高木浩光 2015年2
■ 総務省が不正指令電磁的記録罪の典型的誤解を再生産中、原因を絶たねばならない 昨日からこれが話題になりつつある。 総務省の資料より。ウイルスがダメなのはわかるけど、どこからがウイルスと捉えられるのかが問題。「ユーザーの意図に反する動作」っていわれても「ユーザー」のリテラシによるから難しいなぁ。 pic.twitter.com/hpGnPmUWlS — はぁこ🌸ビール女子麦子開発中 (@paco_itengineer) June 23, 2019 みんなに役立たないことにプログラミング技術を使った奴はタイーホ了解!!!!!!!!!自分のためにしか役に立たなかったり面白いだけで役に立たないことにプログラミング技術を使っているみなさん!!!!!!! pic.twitter.com/YUjSTzmUkj — sksat@OtakuAssembly (@sksat_tty) June 24, 2
ヤフオク!における取引実績や評価、ショッピングでのレビュー回数、知恵袋での活躍度、Yahoo! JAPANへの支払い滞納の有無および回数、利用規約・ガイドライン違反の有無および回数、宿泊・飲食店等の予約キャンセル率、キャンセル連絡有無などの行動実績等 Yahoo!スコアの作成および利用は、お客様のプライバシーの保護に十分に配慮したうえで実施しております。 算出元データには、通信の秘密にあたる情報、スコア化することで不当な差別につながる可能性がある情報(要配慮個人情報、性別や職業等)は使用しません。 知恵袋での行動が知恵袋内での信用評価として使われるのは普通(そういうサービスだということ)だが、それが、知恵袋の外で、お金を借りるときとか、飲食店を予約するときに信用として必要になってしまう、そんな社会はまっぴらごめんだ。(だれにもわかりやすくてたいへんよい。) ヤフーが信用スコアの作成をオプト
■ 電気通信事業法における検閲の禁止とは何か 目次 通信の秘密に検閲は関係しないの? 昨年のブロッキングを巡る議論のズレっぷり 検閲の禁止と通信の秘密との関係 戦後初期ではどう整理されていたか カワンゴ的な検閲厨の到来は昭和27年の国会で予見され論破されていた インターネット時代における検閲の禁止・通信の秘密とは 通信の秘密に検閲は関係しないの? 前回の日記「アクセス警告方式(「アクセス抑止方策に係る検討の論点」)に対するパブコメ提出意見」では、通信の秘密を単にプライバシーの問題で捉えるのではなく、検閲の禁止との関係で捉えるべきであるとの意見を示したが、実は、昨年いろいろな方々にこのことを言ってみたが、なかなか首肯してもらえなかった。なぜなら、学説でそういうことは言われておらず、電気通信事業法の逐条解説書もそうとは言っていないからだ。 例えば、長谷部編「注釈日本国憲法(2)」では、(憲法上
■ アクセス警告方式(「アクセス抑止方策に係る検討の論点」)に対するパブコメ提出意見 総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課から「アクセス抑止方策に係る検討の論点」に対する意見募集が始まっている(締切は5月14日17時)。ブロッキングの身代わりに提案されていた「アクセス警告方式」の是非を問うものである。 アクセス警告方式については、提案が出た直後から身を削って批判してきたところ*1であるが、先月の「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会(第1回)」を傍聴したところ、構成員からも反対の声は多い様子だったので、力を入れて批判するまでもないかと安堵していたが、このパブコメの募集の様子からして、国民からの意見として反対の声を必要としているように見えたので、改めて意見書を作成した。油断せず皆で意見を出しておいた方がよいように思う。 意見募集の対象となるのはこの文
■ 検察官は解説書の文章を読み違えていたことが判明(なぜ不正指令電磁的記録に該当しないのか その3) 先月の「Coinhive事件、なぜ不正指令電磁的記録に該当しないのか その2」の続きである。 検察官の論告に対する世間と国会の反応 Coinhive事件の公判は、2月18日に結審を迎え、検察官から論告・求刑があった。その模様は報道と傍聴者のレポートで伝えられた。 コインハイブ事件、男性に罰金10万円を求刑 弁護側は無罪主張, 弁護士ドットコム, 2019年2月18日 仮想通貨マイニングのCoinhive設置巡る刑事裁判が結審、判決は3月27日, 日経 xTECH, 2019年2月18日 coinhive(コインハイブ)裁判の第四回公判 最終弁論の傍聴してきました。…, モッチー@少年クリプト編集長, 2019年2月18日 第四回公判, 元Coinhiveユーザー@Coinhiveuserの
■ しそうけいさつ化する田舎サイバー警察の驕りを誰が諌めるのか 兵庫県警が単なる「無限アラート」を「不正プログラム」と称して不正指令電磁的記録の罪を適用した捜査(家宅捜索)を行ったことが明らかになり、法解釈・適用の誤りである上に法制定時の参議院法務委員会附帯決議の要請をも無視しているとして批判の声が渦巻いているところだが、ここに来て、「すみだセキュリティ勉強会」が活動を休止するとして抗議行動に出たようだ。 「IT業界の萎縮を招きかねない」 “ブラクラURL書き込みで中学生補導”、弁護士に問題点を聞いた, ねとらぼ, 2019年3月5日 Japanese police charge 13-year-old for sharing 'unclosable popup' prank online, ZDNet, 2019年3月5日 「いたずらURL貼って補導」がIT業界の萎縮をまねく理由, IT
■ リーチサイト規制の条文にも欠陥 ダウンロード違法化等著作権法改正法案原案 ダウンロード違法化対象範囲拡大の論点 著作権法の改正案が国会に提出されようとしているが、そのうち「ダウンロード違法化の対象範囲の拡大」の部分を巡って混乱が続いている。 画像や文書も…ダウンロード違法化、対象拡大?, 読売新聞, 2019年1月23日 静止画ダウンロード違法化案「目的を見失っている」──情報法制研究所、懸念と改善案を提言, ITmedia NEWS, 2019年2月8日 「意味のない法改正」「イラスト界が壊滅する」 違法ダウンロード対象拡大で漫画家らが“反対集会”, ITmedia NEWS, 2019年2月8日 法学者ら84人「ダウンロード違法化」に緊急声明 「海賊版対策に必要な範囲に限定せよ」, ITmedia NEWS, 2019年2月19日 DL違法化「必要な議論尽くされた」「バランスの取れ
■ Coinhive事件、なぜ不正指令電磁的記録に該当しないのか その2 昨年6月10日の日記「懸念されていた濫用がついに始まった刑法19章の2『不正指令電磁的記録に関する罪』」の「なぜ不正指令電磁的記録に該当しないのか」の節は、続きを書くつもりだったが、それからだいぶ経ってしまった。今改めてそれを書いておく。 当時、私が「Coinhiveの使用が不正指令電磁的記録の供用でない」と主張したことに対して、「それではあれが処罰できなくなる」だとか、「俺のPCのリソースが無断で消費されるのは許せない」とか「電気窃盗だろ」といった反応がチラホラ見られた。これらについて整理しておく。 刑法は「利益窃盗」を不可罰とする 刑法の講学上の概念として「利益窃盗」なる言葉がある。これは、刑法に規定された財産犯が二つのタイプに分けられることから来ている。すなわち、強盗、詐欺、恐喝には1項と2項が規定されていて、
■ 改正NICT法がプチ炎上、工場出荷時共通初期パスワードが識別符号に当たらないことが理解されていない 先月のこと、NHKニュースが「総務省 IoT機器に無差別侵入」と報じたおかげで、一部のメディアが後追いし、プチ炎上して気の毒なことになっていた。その後もじわじわと延焼し、昨日になって、ひろゆき氏から「総務省のセキュリティ調査に「国が不正ログイン」と騒ぐ頭の悪い人たち」とのトドメ記事が出るに至った。これは最初のNHK報道が素人考えで偏向していたところに原因がある。 総務省 IoT機器に無差別侵入し調査へ 前例ない調査に懸念も, NHKニュース, 2019年1月25日 全国の家庭や企業にあるインターネット家電などいわゆる #Iot機器 に国が無差別に侵入を試みる。そんな世界でも例のない調査が来月から始まります。 #サイバー攻撃 対策の一環だということですが、実質的に不正アクセスと変わらない行
■ 業界の信用を傷つける思想を開陳したトレンドマイクロ社にセキュリティ業界は団結して抗議せよ トレンドマイクロ製品がApp Storeから締め出された事案が重大局面を迎えた。エバ・チェン社長兼CEOの声明が発表されると同時に、準備されていたZDNetニュースが報じられた。 App Store上の当社アプリに関する重要なお知らせ, トレンドマイクロ, 2018年10月31日 トレンドマイクロのチェンCEO、App Storeでのアプリ削除問題に謝罪と説明, ZDNet Japan, 2018年10月31日 これまでの説明とは異なり、もはやトレンドマイクロ社固有の事情を超え、情報セキュリティ業界の一般論として、業界が必要としている情報取得だったのだと正当化し、社会が理解すべきものだとして、世間に理解を求める声明になっている。 セキュリティ企業は、お客さまのセキュリティならびにプライバシーを改善
■ 魔女狩り商法に翻弄された田舎警察 Coinhive事件 大本営報道はまさに現代の魔女狩りだ 前回の日記(6月11日23時46分公開)の件はその後、以下のように展開した。 6月12日 他人PCで仮想通貨獲得 了解得ず「採掘」初立件 神奈川県警など,*1 毎日新聞, 6月12日朝刊 仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話, モロ@ドークツ, 6月12日9時43分 Coinhive設置で家宅捜索受けたデザイナー、経緯をブログ公開 「他の人に同じ経験して欲しくない」, ITmedia, 6月12日12時17分 仮想通貨「無断採掘」疑い サイト運営者を書類送検,*2 共同通信, 6月12日20時45分 Police to press charges over cryptocurrency 'mining' of computers without consent, The M
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