先日、「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)をめぐる議論にちょこっと触れてみたのだが*1、ここに来て賠償責任をめぐるネット上の議論が若干迷走気味になっているような気がしてならない。 例えば、同法3条1項但し書きの 「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」 という規定が適用されるのかどうかについて論者の解釈がバラバラで、東京電力の負うべき責任が“純然たる社会的責任”なのか、それとも“法的根拠を伴う責任”なのか、という点において、議論の出発点がそもそも異なっていたりするし、損害賠償の範囲についても、人によって言っていることがまちまちだったりする。 だが、“印象論”としてさらっと呟くだけならまだしも、「原賠法」に言及しながら“事業者の責任論”を真っ向から論じようとするのであれば、これまでの原賠法の制定経緯や解釈論の積み重ねを踏まえ