取材した「長良川河口堰(ぜき)」の記事を掲載しなかったのは「報道弾圧」で新聞記者の権利を否定したとして、朝日新聞社元記者の吉竹幸則さん(60)が、同社を相手取り、謝罪記事の掲載と慰謝料など3000万円の支払いを求めた訴訟を名古屋地裁に起こしていたことが、17日わかった。 訴状などによると、吉竹さんは1973年に入社し、名古屋本社社会部、東京本社政治部、豊田支局長などを経て、今年1月に定年退職した。社会部時代に長良川河口堰の取材をし、90年夏に建設省(現国土交通省)が治水効果のないことを知りながら着工したという内容の記事を出稿したが、掲載されないまま同年9月に政治部に異動。93年12月に記事は掲載されたが、その後、関連記事が掲載されることはなかった。 吉竹さんは「憲法21条による国民の『表現の自由』『知る権利』の負託を受けた記者は社会的存在。会社は掲載しない理由を明らかにせず、不当な編集権の