クリミア併合を支持するベラルーシ国民 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
ベラルーシの独立社会経済政治研究所より最新のニュースレターが届き、そこに2015年12月にベラルーシ全土で実施された最新の世論調査結果が出ている。 この中に、「貴方は、クリミアのロシアへの編入を、どう評価するか？」という設問も含まれている。回答結果を見ると、表に見るように、「これは帝国主義的な併合、占領だ」とする評価が20.2％、「これは、ロシアの歴史的領土の復帰、歴史的な正義の回復だ」とする評価が65.7％、回答困難・無回答が14.1％となっている。過去２年ほどの数字の推移を見ると、今回の調査が最もロシアを支持する姿勢が明確に出ているが、何らかの要因があってロシア支持が高まったのか、それとも統計の誤差の範囲内なのかは、明らかでない。いずれにせよ、クリミア問題に関しては概ね、ベラルーシ国民の25％くらいがロシア不支持、60％くらいがロシア支持という大きな構図に変化は見られない。 （何度か申
ベラルーシにおけるインターネットの普及 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
こちらのサイトに、ベラルーシにおけるインターネットの普及・利用状況のデータが出ている。なお、ベラルーシの国別ドメインはbyなので、ベラルーシのインターネット世界のことを「バイネット（Байнет）」というようである。それで、#DB3という機関の調査によると、人口1,000万人弱のベラルーシで、ネットの利用者は上図のように拡大しているということである。2009年には300万人をちょっと超えた程度だったが、それが2015年12月には508万5,125人になった（なんでそんな具体的な数字が分かるんだよ！とツッコミたくなるが）。 この間、ネットユーザーの年齢層も変化した。それを示したのが下図であり、青で示した2009年12月には19～24歳がコア層だったのに対し、赤で示した最新値では平均年齢が上がり、広い年齢層にユーザーが広がっていることが分かる。
【悲報】ベラルーシ、ウクライナの新パスポートを認めず
こちらによると、ベラルーシは、ウクライナが導入した生体認証パスポートを認めていない。 両国はビザなし渡航体制にあるが、新しいパスポートを受領したウクライナ国民は、ベラルーシ国境を超えることができない、とベラルーシ国境管理委員会は述べた。 「ウクライナ国民の新しい電子証明書は、2009年調印のビザなし渡航に関する両国間合意で想定されておらず、国境を通過する身分証明書としては認められない」とした。 また、ベラルーシ当局は、入国に関しては、旧様式の国外パスポートもしくは国内パスポートに限る、とした。本問題は、両国外務省間で調整される必要がある。 ウクライナの新しい生体認証パスポートは、2016年1月から導入された。第一段階として、16歳で初めてパスポートを作れる国民のみが受領している。紙の旧様式パスポートは無期限で有効であり、生体認証付プラスチックカードの受領は権利ではあるが、義務ではない。 -
EUの対ベラルーシ制裁解除の読み方 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
こちらのサイトで、アレクサンドル・グシチンという論者が、EUの対ベラルーシ制裁解除について論評しているので、抄訳しておく。 ◆ 2004年にEUが承認した最初の制裁リストは、ベラルーシの４人の政権幹部から成っていた。これは、1999～2000年の野党政治家の失踪に関与したとEU側が見なしていた４人であり、元内相のV.ナウモフ、元大統領府長官のV.シェイマン、元内相のYu.シヴァコフ、元内務省特殊部隊長のD.パヴリチェンコである。同年12月には議会選・国民投票を受け、選管議長のL.エルモシナと特務警察部長のYu.ポドベドが追加された。さらに、2006年４月には大統領選の過程で人権侵害に加担したとEU側が見る人物が加えられ、リストが37名にまで拡大された。EUはベラルーシ公務員の在EU資産を凍結し、またルカシェンコその人と多くの政府高官を制裁リストに加えた。2010年12月19日に不正選挙に抗
変わるベラルーシ、変わらないベラルーシ : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
今回、久し振りにベラルーシに滞在し情報を収集してみて、感じた最大の点は、ベラルーシ国家・社会は収斂しつつあるということである。私が駐在していた頃、十数年前のベラルーシは、体制と反体制が、明確に分かれていた。両者は、世界観を異にするパラレルワールドのごとく、まったく混じり合うことがなかった。それが、今日では、体制側は穏健化しているし、一般市民やリベラル派は体制を自然なものとして受け入れ、結果的に国家・社会が収斂している。昔ながらの民族派、反体制野党のような人たちが立場を変えたとは思えないが、そういう人たちはますますマージナル化し、ほとんど存在が見えなくなっている。 たとえば、今回現地で購入した『ベラルーシ人と市場』紙の２月20日号。元々はリベラル派の立場からルカシェンコ体制を批判する立ち位置の新聞だった。しかし、今号に掲載された、EUの対ベラルーシ制裁撤廃に関する記事では、EUの決定は当然で
混乱を招くロシア・ベラルーシ国境管理 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
そんなわけで、ロシア～ベラルーシ～ウクライナ出張から、無事に帰還したところ。それにしても、今回の出張では、ロシア・ベラルーシ間の国境管理に、当惑させられた。すでに、先日のエントリーで、ロシア・ベラルーシ間の移動では出入国手続きが撤廃されており、飛行機も国内便扱いであるということをお伝えした。まあ、そのこと自体は、大変結構なことだと思う。問題は、現時点での制度が中途半端で、特に我々のような第三国人には理解しにくいことである。ロシアに入る時に必要になる「出入国カード」というのは、ご存知の方も多いと思う。あれ、よく見ると、ロシアとベラルーシの共用になっている。つまり、ロシアまたはベラルーシでいったん入国手続きをとり、出入国カードに記入すれば、そのままもう一つのベラルーシまたはロシアに入国できるわけである。ところが、現時点では両国のビザは共通化されていない。ロシアのビザを取得した第三国人は、フリー
ベラルーシ人のDNA研究 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
なるほどなあ。こちらのUniparental Genetic Heritage of Belarusians: Encounter of Rare Middle Eastern Matrilineages with a Central European Mitochondrial DNA Poolという論文によれば、ベラルーシ人のDNA研究も、それなりに進んでいるのか。以下のようなことらしい。旅先で調べるようなことじゃないけどなあ。 Ethnic Belarusians make up more than 80% of the nine and half million people inhabiting the Republic of Belarus. Belarusians together with Ukrainians and Russians represent the East
2016年のベラルーシの国家予算 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
こちらおよびこちらのニュースによれば、2016年の国家予算法にルカシェンコ大統領が署名し、12月31日にベラルーシの2016年国家予算が成立した。今回の予算審議時期は例年よりも異例に遅く、12月17～18日に議会がスピード審議して可決していた。共和国予算の歳入は180.6兆ベラルーシ・ルーブル、歳出は163.42兆ベラルーシ・ルーブルで、17.18兆ベラルーシ･ルーブルの黒字を計上している。石油製品の輸出関税による収入が11億ドルと見込まれており（油価50ドルの想定で）、輸出関税収入は外貨建て債務の償還に当てられる。ベラルーシは2016年に23億ドルの債務を返済する必要がある。 ブログランキングに参加しています １日１回クリックをお願いします
1
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く
日めくり紋章710：ゴメリ州 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
EUが対ベラルーシ制裁解除 : ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ
ベラルーシの人権状況悪化 : 国連情報誌ＳＵＮブログ対応版