<「在日特権」など、外国籍者が日本で特別な配慮のもとに恩恵を受けているかのような言説や逆に帰化者に対する差別的な情報がインターネット上には溢れている。しかし、あえて日本国籍を取得しなくとも、ほぼ同じ権利を受けることができるのが現在の日本社会であると評論家の林晟一は述べる。2002年の小泉訪朝を機に朝鮮籍から韓国籍に変更した筆者が、日本社会、在日社会から見た国籍や外国人について論じる。論壇誌「アステイオン」89号は「国籍選択の逆説」特集。同特集の論考「在日韓国人になる」から、一部を抜粋・転載する> 韓国籍と日本国籍 「九・一七」(編集部注:二〇〇二年九月一七日の小泉訪朝)以後の日本社会からの拒絶が引き金となり、筆者は韓国籍に変更した。一方、表1で確認したとおり、今日まで在日韓国・朝鮮人のコミュニティでは日本国籍の取得がだいぶ一般的となった。 早くから在日のアイデンティティと帰属先のずれを問題