「農業ICTで重要なのはケーシング」と語るのは、農業領域におけるICT活用を専門とする深津時広博士です。農業ICTに対する期待は2000年代前半からありましたが、思いのほか進んできませんでした。ソリューションを提供しようとするITベンダと、課題を抱える農家の間を分かつものは何なのでしょうか。農業ICTを進める難しさや、農業ビッグデータ活用の好例を深津先生に伺いました。 温度と気温は違う 農業・教育・医療は、長らくIT業界の鬼門でした。これらの領域でのICT活用は行政やITベンダなどによって大きな期待が寄せられているにもかかわらず、思ったような進展がなかったり、実証実験止まりになってしまうことが少なくありません。一方で、近年のビッグデータ・IoT・人工知能といった新しい技術活用は、これらの領域に大きな変化をもたらすと、再度期待が高まっています。 本稿では、農業におけるICT活用の可能性と課題